怪しいアルバイト情報に要注意!怪談「リゾートバイト」あらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話
「リゾートバイト」の怖い話のあらすじ
大学生の夏休み、旅行がてら海でのアルバイトを計画した投稿者たち。女の子との出会いも期待しつつ、安易な気持ちで始めたアルバイト。
ところが、興味本位で、使っていないはずの2階に上がってしまったことから、得も言われぬ恐怖体験をすることとなる。早々にバイトを辞めるもお祓いが必要となり、ある場所に連れて行かれたのだが、そこで驚愕の事実を知る…。
リゾートバイトという軽い印象を持つタイトルだが、一連の怪現象、霊現象の背景には悲しいストーリーがあった。
起:海でのリゾートバイト
夏休みを利用して海にリゾートバイトに行くことにした投稿者(男性)とその男友人、AとB。バイト先の旅館にいたのは、女将の真樹子さん、従業員の美咲ちゃん、女将さんの旦那さんの3人。夏の間、計6人で旅館を切り盛りしていくことになった。
ふとAが、2階があるにも関わらず2階に客室がないことに疑問を抱く。すると女将さんからは「今使っていない」という返事であった。
バイトを開始して1週間ほど経った頃、女将さんが客室として使用していないはずの2階にご飯を運んでいることにBが気付く。しかも5分でお盆を下げるのだ。お盆の上のご飯は空になっている。食事にしては速すぎる時間だ。
「2階に何があるのかな」、そんな好奇心から、3人は2階に探検へ行くことにした。
2階に続く階段は玄関の外にある。3人は少しビビりながらも2階に続く階段の前まで行き、ドアノブを回してみた。
鍵はかかっておらず、投稿者がドアを少し開ける。すると、側にいたBが「なにか臭わないか?」と言い出した。投稿者とAは臭いを感じなかったので不思議に思ったが、構わずドアを開けて中に入っていく。入るとBも「臭わなくなった」と言い出したので、気のせいということになった。
ドアの向こうにはひと一人が通れるほどの狭い廊下が続いており、その先に階段が見える。AとBはビビって上りたくないと言うので、投稿者が一人で2階へ上ることに。
承:旅館の2階で遭遇した蠢くモノ
階段を上り始めると、「パキッ…パキッ…」と不気味な音が聞こえてきた…。怖くなって階段下で見ている2人を振り返ると、「異常なし」と親指を立てている。
恐怖心を抑えながら階段をさらに上っていくと、「パキパキパキッ…」と音が激しくなっていった。虫か何かを踏んでいる感触があるが、足元には何もない…。何度か階段下の2人を振り返ったが、変わらず親指を立てて異常なしのサインを送っている。
階段の突き当りに差し掛かったとき、強烈な臭いが鼻をつく。Bが言っていた異臭はこれか…そう思って辺りを見回ししてみると、大量の残飯が積み重ねられていた。蝿も飛び交っている。
その時もうひとつの異変に気づく。ドアの縁にベニヤ板のようなものが無数の釘で打ち付けられており、その上に大量のお札が貼ってあったのだ。投稿者は直感的に、何かを閉じ込めている…と感じた。
戻ろうと思って踵を返したそのとき、ドアの向こうから「ガリガリ」と何か引っかくような音と、「ひゅー…ひゅっひゅー」という不規則な呼吸音も聞こえてきた…。
異音と呼吸音が続き恐怖を感じていると、天井裏から「バンッ!」「ガリガリガリガリガリガリ」という獣が動くような音が聞こえる。さっきまでドアの向こうから聞こえてきたのに、ソレは一瞬で頭上に移動したようだった。
恐怖で足も震えだし、視界の隅で動くものが見えたので勇気を出して見てみる。視線の先には、「早く降りてこい!」「大丈夫か!」と叫びながら手招きしているAとBがいた。
恐怖から逃れたい一心から、ものすごい勢いで階段を駆け下り、急いで部屋に戻る。AとBから「何かあったのか」と聞かれたが、思い出すのも怖く話せなかった。
すると、Aが不思議なことを言い出す。「お前、上で何食ってたんだ?」と。Aいわく、上に着くとすぐにしゃがみこみ、なにかを必死に食べている様子だった、と。
投稿者は全く身に覚えがなかったが、ふと自分の胸元に目をやると、大量の残飯と思われる汚物が付着していた…。よく見ると、手にも残飯が付いている。しゃがみこんだ記憶もないし、もちろん残飯など口にしていない。
さらには、足の裏や膝に大量の細かい切り傷があり、そこには爪のような破片が付着していた。3人は恐怖で言葉を失う。
投稿者が自覚していた行動と、2人が見ていた行動は完全に食い違っているが、「ガリガリガリ」という音はナニかが爪で引っ掻いていた音で、「パキパキ」という音は床に散らばった爪を踏んだときのものではないか、と推測する。
この恐怖心を抱えたまま働けるはずはなく、3人は翌日にバイトを辞めることを決意した。もちろん女将さんには2階に上がったことは言わない。
翌朝、投稿者は自分がかけた携帯のアラームで目を覚ます。Bもその音で目を覚ましたが、様子がおかしい。妙に怯えているのだ。Aが心配してBの肩をつかんで「大丈夫か?」と聞くと、「うるさいっ!」と言ってAの腕を振り払った。
様子が尋常ではなかったので投稿者が理由を聞いてみると、Bは「俺もAも死ぬ思いしてんだよ!」と叫んだ。おかしい。恐怖体験をしたのは投稿者のほうだというのに。
Bに、「死ぬ思いってなんだ?お前ずっと下にいたろ?」と聞くと、Bは「いたよ。ずっと下から見てた」と言い、続けて「今も見てる」と理解しがたいことを言い出す。Bが言うには、投稿者が階段を上りきったあたりから、3つか4つほど「影」が見えはじめ、それが蜘蛛みたいに壁や天井に張り付いていたのだそうだ。
「今も見てる」についてAが問うと、Bは「錯乱してたんだわ、ははっ」と笑ってごまかした。もう恐怖に耐えられそうになかったので、それ以上は投稿者もAも聞かないことにした。
そして翌日、女将さんにバイトを辞める話をするために、Bを部屋に呼びに行くと彼は電話をしていて、「どうしても今日がいい。必ず伺うのでよろしくお願いします」というようなことを話していた。それから3人で女将さんに今日で辞めさせてもらいたいと話をすると、あっけなく承諾してくれる。
女将さんは、別れ際にバイト代と3つの巾着袋を手渡してきた。旦那さんと美咲ちゃんは残念そうな表情で様子を見ている。美咲ちゃんは別れ際に3人分のおにぎりを渡してくれた。
3人はタクシーに乗り、旅館をあとにする。しばらくすると、Bは運転手にメモを渡し「ここに行ってほしい」と頼んだ。そして投稿者とAに向かって、「行かなきゃいけないとこがある。お前らも一緒に」と言う。
理由を聞けずに黙っていると、運転手が後ろから走ってくる車は知り合いじゃないのか、と聞いてきた。振り返って見てみると、旅館の旦那さんが軽トラに乗って後を追ってきている。
車を停めて旦那さんと話すと、「そのまま帰ったら駄目だ」と言われ、Bは「こんな状態で帰れるはずない」と答えた。全く話が読めない投稿者とA。
そして、旦那さんは投稿者のほうを向き、「おめぇ、あそこ行ったな?」「このまま帰ったら完全に持ってかれる」と言う。不安になってBのほうを見ると、「大丈夫。これからお祓いに行こう」と言い出す。
どうやらBは旅館を出る前に、お祓いの場所を調べていたようだ。しかし、旦那さんが言うには、「そんなのは意味がない、事の発端を知る人の所に連れて行く」とのこと。加えて、「見えているBが一番危ない」とも。
訳がわからなかったが、3人は旦那さんの軽トラに乗り込み、どこかに連れていかれることになった。
転:おんどうの周りを徘徊するモノ
3人が連れていかれたのは普通の一軒屋であった。中には既に僧侶たちが待機している。僧侶のひとりは3人を見た途端、「禍々しい」と呟く。
僧侶はBに霊を見た体験があるかと問うが、Bは「ない」と答える。そして、Bが「俺は死ぬのか?」と尋ねると、僧侶は「このままいけば、確実に」と返す。
僧侶いわく、あの2階の部屋には「人ではないモノがいる」とのこと。それをBは見てしまい、しかもソレが今もついて来ているという。結界を張っているので、一軒家の中には入ってこられないようだが…。ソレが結界を破ろうと壁を引っ掻いていて、Bにはその音が聞こえているそうだ。
そして案内されたのが「おんどう」と呼ばれる小屋。ここに一晩滞在し、憑き物を払うのだという。鳥居をくぐる前に僧侶がBにソレの様子を尋ねると、Bは、ソレは二本足で立って、今もずっとこっちを見ていると答えた。僧侶は「Bに見つけてもらったのが嬉しかったのだろう。時間がないので急がなくては」と言う。
僧侶から、「おんどう」の中には一切明かりがなく、夜明けまで言葉を発してはいけない、食べたり寝たりするのもいけない、と言われる。用を足したくなったらこの袋にしなさい、と布の袋を渡される。そして、竹筒のようなものに入った水を3人に飲ませ、自らも口に含んで3人に吹きかけた。
しかし、「見えていた」Bはおんどうに入ろうとした瞬間、外に飛び出して吐いてしまう。「身を清めたのに入れないのはおかしい」と僧侶。Bの所持品を調べたところ、「女将さんからもらった巾着袋」を発見する。中を確認すると、そこから出てきたのは「大量の爪の欠片」だった…。
3人の所持品はすべて取り上げられ、おんどうへ。僧侶からは「扉を開けてはならない」「壁の向こうのものと会話してはないらない」「言葉を発してはならない」、と念を押される。
日が暮れた頃、おんどうの周りをぐるぐると徘徊する何かの存在に気付く。恐怖に怯えていたが、その音が消えて若干の余裕ができた。その時、扉の外から「Bくん」「おにぎりつくってきたよ」「いらっしゃいませ」の声が…。それは美咲ちゃんの声であったが、しゃべり方が無機質だ。しかもその3つのセリフを何度も何度も繰り返している。3人はただただ恐怖に身をすくめるしかなかった。
そして遂に、扉がガタガタと揺れ始める。ソレが中に入ろうとしているようだ。その間も美咲ちゃんの声で無機質にセリフを繰り返しながら…。明かりがないので音でしか存在を感じられなかったが、おんどうの隙間から月の光が差し込みソレの姿が一瞬見えた。真っ黒い顔に、細長い白目をむき出しにしている姿が…。
ソレは何度も壁に体当たりしていたが、やがて「ア゛ーっア゛ー」と奇声を発しながら遠ざかっていく。ソレが去った後も、3人はただただ黙って夜を過ごすしかなかった。
そして、長い長い夜が開けた。僧侶が扉を開け、3人の姿を見るなり「よく、頑張ってくれました」と声をかける。おんどうの中は汗と尿まみれだったが、僧侶はためらわず中に入り、3人の肩を一人ひとり抱いていった。
3人は一軒家に戻ることになったが、寺の横を取ったとき、叫び声を聞いた気がした。Aは「女将さんの声じゃないか?」と言ってきたが、ほどなくして叫び声は聞こえなくなった。
結:旅館の2階で見たモノの正体
その後、3人はお風呂に入り、極限の疲れのせいもあって泥のように眠った。爆睡から目を覚ました3人は、僧侶から事の真相を聞かされる。
僧侶は見せたい物があると言い、小さな木箱を持ってきた。その中にあったのは、綿にくるまれている黒く小さい物体。僧侶は、「臍の緒(へそのお)」だと言う。続けて、臍の緒には、さまざまな言い伝えがあると。
なんでもこの土地では漁を生業として生きる者が多く、我が子に臍の緒を渡すことが海難に遭わないためのお守りであったという。行方不明になった子が母親の元に帰ってくるように、との意味合いもあったそうだ。そしていつからか、海で行方が分からなくなった子どもと母親とを繋ぐ命綱的な役割も持つようになった。
また、行方不明になった子どもが戻ってくる儀式として家中にお札を張り、毎日ご飯を積み上げるという風習もあったという。そう、まさに投稿者が旅館の2階で見た光景である…。
実際には、子に臍の緒を持たせていても、行方不明になった子が帰ってくることはなかったそうだ。
しかしある日、行方不明になった子が帰ってきた、と泣いて喜ぶ母親が現れた。子が行方不明になったのは3年前で、しかも子の姿はまだ見せられないと言う。周囲の人間は気が狂ったかと思ったが、別の母親も同じことを言い始めた。
しばらく経ったころ、ある村の者が、最初に子が帰って来たと言い始めた母親が子と海辺を歩く姿を見たと言う。村人たちは疑っていたことを謝罪し、祝福をしようとその母親の家に訪ねることにした。
母親は謝罪を受け入れ、扉に隠れていた我が子を抱き寄せる。しかし、村人たちが目にしたのは、全身の肌が青紫色の異形のモノだった…。体はパンパンに膨らみ、腫れ上がった瞼の隙間から白目が覗いており、黒目は左右別々の方向に向いている。泡を吹きながら奇声を発しているソレは、もはや人とは思えなかった。
恐怖に怯えた村人たちは寺の住職に相談する。住職は、母親を家から引きずり出して結界を張った寺に入れるも、怒った母親はすごい力で住職を跳ね飛ばし、寺から飛び出してしまった。
その後、住職と村人たちがその母親の家の中に入ると、部屋中にお札が貼られ、部屋の隅に盛られた腐った残飯が異臭を放っていたという。母親は我が子を亡くした悲しみから儀式を行い、その結果、あのような異形のモノが生まれたのだ、と住職は言う。
住職は逃げ出した母親を見つけ、「おんどう」に閉じ込めた。数人の住職がおんどうの周りで経を唱えると、子と思われる異形のモノが姿を現す。子は親を探しておんどうの周りをぐるぐると歩いている。二足歩行をしていたソレは四足歩行を始め、ついには四肢の関節を曲げて蜘蛛のように地を這うようになった。その後、呻き声をあげると四肢が失われて芋虫のようになり、最後は臍の緒だけになっていたそうだ…。
その母親は、二度も子を奪われた悲しみから正気を失ってしまう。子が帰って来たと言っていたもう一人の母親は、近海の岸辺に遺体となって打ち上げられていたが、顔は幸せそうだったという…。
一体、その話が今回の件とどうつながるのか?ここで女将さんの話になる。
女将さんはこの村に嫁いできて一人息子をもうけた。ところが、その一人息子が数年前に海で行方不明になったのだそうだ。悲しみにくれた女将さんは、2階で前述のような儀式を行い始める。そして、そこで人ではないモノが産まれた。
しかし、女将さんは息子に臍の緒を持たせておらず、村の風習も知らないはずだという。通常なら戻ってきた子は親にとり憑くはずが、なぜか3人を親としてとり憑いてしまったのだ。見えているのはBだけだったが。
旦那さんいわく、バイトとして3人を雇ったのは、女将さんに「息子が恋しい。同年代くらいの子達がいれば息子が帰ってきたように思える」と泣きつかれたからだそうだ。これは僧侶の推測になるが、女将さんは帰ってきた我が子が3人に取り憑くことを知っていたのではないか、という。
この話を聞いたBは怒り、「あいつらに会わせろ!」と僧侶に怒鳴る。それを聞いた僧侶は、「真樹子さん(女将さん)のいる場所へ案内します」と立ち上がった。そして、本堂の離れのような場所に案内される。
3人がそこで目にしたのは、女将さんとそれを取り囲む数人の僧侶たちの姿。女将さんはエビのように体をのけぞらせて跳ね、呻き声を上げている。僧侶いわく、今朝からずっとこの状態だという…。
僧侶が、あなたたちに憑いて来たモノは払ったはずだが、と言ったところで、Bが「俺が見たのは1つじゃなかったんだ…」と言い出す。僧侶は驚き、鳥居の家に行って部屋から一歩も出ないように、と指示をし、女将さんのいる離れの方へ走って行った。
しばらくすると、離れの方から、複数の僧侶が大きな布にくるまった物体を運び出すのが見えた。その布の中身はうねうねと動いていて、時折痙攣しているようだった。3人は口に出さなかったが、布の中身は女将さんだ、と思った…。
その後、僧侶から「女将さんを救うことができなかった」と聞かされた。しかし、死んだのかと聞くと、そうではないと言う。
僧侶は続けて、女将さんが行ったのは、この地に伝わる「子を呼び戻す儀式」と似て非なるものだとも語った。本来の儀式とは異なっていたが、女将さんは母親としての信念から儀式を完成させ、結果、あのようなモノを産んでしまったのだろう、と。旅館の2階には複数のモノがいたが、その中に女将さんの息子が居たかは分からない。そう僧侶は話す。
投稿者は僧侶に、もう自分たちの身に何も起きないかどうなのかを確認すると、「大丈夫」だと言う。実際、それからは何も起こらなかったそうだ。Bは、あれから蜘蛛を見るのがダメになったようだが。
おわりに
子を亡くした気持ちは親でなくては分からない。その悲しみはいかほどであろう。どんな姿であっても戻ってきてほしい、と儀式や呪術に頼る気持ちも分からなくはない。しかし、失った人は何をしても二度と同じ姿で帰らない…。
なお、この事件後に3人の身にはおかしいところはないようだ。完全にお祓いができたということだろう。投稿者がバイトに参加できなかった友達にこの話をすると、興味半分で旅館に電話したらしい。電話には女性が出たというが、女将さんが無事かどうかは定かではない。
カテゴリ――2chの怖い話
リゾートバイトを読んだ人の感想
全体的に、Bさんの不思議な発言が怖いです。投稿者さんとAさんには見えていないものが見えているBさんの発言が恐ろしいです。 おんどうの周りを徘徊するモノについての話では、迫り来る美咲ちゃんの声のあたりを読み始めてから、布団から出られなくなってしまいました。 亡くした子を思う親の執念は恐ろしいなと感じました。 しばらくリゾート地の旅館には泊まりたくありません。泊まったとしても、変な部屋や不思議な場所を意識的に探してしまいそうな自分が怖いです。
まず、リゾートバイトという楽し気なタイトルから想像される内容と全く違って、騙された!というのが第一印象。初っ端の投稿者の奇行から、女将さんの巾着袋、終盤の除霊シーンまで、心霊的な怖さ&人間の怖さが盛り沢山で素晴らしい。女将さんの行動がやはり一番恐ろしいが、それを知っていながら野放しにしている旦那さんと、おにぎりを渡したりと謎の残る従業員の美咲ちゃんの存在も恐怖だ。でも、私も子供を持つ母親として、もし急な事故や事件で我が子がいなくなり、たまたま自分が「子供を呼び戻す儀式」についての知識を持っていたなら、駄目元でやってみてしまうかも…と思ってしまった。そしてそこに何かが現れたのなら、それが人間ではなかったとしても、子供の生まれ変わりだと信じて大事にするかもしれない…。巻き込まれた投稿者達は可哀想だが、元凶となった女将さんの気持ちも分からないでもない。怖いけれど悲しく、切ないお話だった。
封印された異形の者が解放されるという怖い話によくありがちな展開を踏まえながらも、親が子を思う気持ちから生まれた悲しい出来事であるという切なさも印象に残る作品だった。3人がおんどうに篭っているときに、周りを徘徊していた異形の者が美咲ちゃんの声をマネて3人のことをおびき出そうとしていたところはかなり怖かった。もしもあのまま誰かが外に出ていたら、最後に出てきた女将さんのように体を痙攣させて普通の状態には戻れなかったのかもしれないと思うとかなりゾッとする。
「リゾートバイト」の前半部分の、日常のアルバイトや友人たちとのじゃれ合いから、後半の怒涛の恐怖への駆け足で突っ込む所、真相が分かるにつれての不気味さが非常に怖いです。また原因となった女将さんの行動に関しても、理由は亡き子供を思う気持ちからの行動なので怖くもありますが、得体のしれないものでもすがりたいという気持ちも理解でき、読み終わった後はどこか悲しくもあります。全体的に起承転結が上手くできており、特に転結の疾走感は印象深かったです。
ただの怖い話というのではなく、母親の子供を失った悲しみからとんでもないモノを産み出してしまったという話で、最終的にはゾッとしたというよりも、なんとも言えない気持ちになった。しかし物語はじめの、投稿者が2階に上がったときの本人の覚えている行動と、AとBが階下で見ていた投稿者の行動が違っていたのは、ゾッとさせられた。僧侶によるお祓いシーンはリアルな感じでとても良かった!美咲ちゃんの声で3人を呼び出そうとするところはハラハラしたし、とても良くできた話だと思う。
この話は怖さと共に悲しさも感じる話だ。タイトルは軽い感じなので、こんな怖い話だと想像がつかないが、そのギャップが怖さを引き立たせている。若者の軽い好奇心から2階に巣食う何かに取り憑かれてしまう流れはよくある展開ではあるものの、正体の分からない怖さが、読んでいる側に伝わり、僧によるお祓いのあたりまでストーリーに引き込まれていく。この話は単にそこで終わらず、子を想う母親の執念というべき背景も語られており、怖さと共に悲しさも感じさせる話であった。
ゾッとする内容だった。本来なら2階へ上がらないように注意するべき女将さんが、注意しなかった理由は最後まで読んで納得出来たが、なぜ女将の旦那さんと従業員の美咲ちゃんは、注意しなかったのかなと思った。 上がった投稿者ではなく、Bが憑りつかれた訳だが、投稿者とAはなぜ大丈夫だったのかも気になった。 旦那さんが僧侶の所に連れて行き、3人は助かった訳だが、自分なら蜘蛛を見るのがダメになるどころか、ご飯もトラウマになるかなと思った。
投稿者が無意識にご飯をむさぼっていたのが気味が悪かった。おんどうの周りを徘徊するモノの姿も、人の形をなしておらず、不穏な気持ちになった。旦那さんが良心的でよかったと思う。母親が自分のお腹で産み、育てた息子への想いの強さを感じた。悲しい結末になったのが不幸を重ねるようなことにんっており、悲しみが増した。今もその旅館が存在し、営業してると思うとゾッとする。もしかしたら、投稿者がアルバイトをした旅館だけでなく、他にもそういう家があるのかもしれない。
「リゾートバイト」を読んだ感想として、お祓いを受ける際、おんどうの扉の外から美咲ちゃんの無機質な声で「Bくん」と呼びかける場面が怖くて身震いがした。子を失い、悲しみ、戻って来てほしいと切に願う女将さんの思いが、いつしか人を呪い、女将さん自身を滅ぼしてしまうという切なく恐ろしい結末に胸が痛んだ。その後、バイトに参加できなかった友達が興味半分で旅館に電話した際、女性がでたという話の結びも続編を期待させるものでよかった。
2階へ行った時の恐怖場面に、音の描写や臭いの描写が多くみられ、五感に訴えかける語りが実に恐怖をあおってくれた。 2階で投稿者が感じたものそのもののおぞましさと、階下から見ていた友人との情報の不一致という恐怖、そしてその内容がまた生理的嫌悪を誘うというあたりも見事である。 旅館の人間たちの恐ろしさ、根底にあった人間(母親)としての、理解に難くない考えによる説得力もまた、地に足の着いた恐怖演出には非常に良いものであった。 残念なのは、母親がそんな恐ろしい行為を偶発的に行えてしまった、というところの詰めが若干甘く感じたためだろうか。 しかしこれは、それ以外の部分が非常に緻密に描写されていたが故に見えた欠点ともいえるだろう。 後日友人が旅館に電話をした……という締めは、物語の濃厚さに対してサラリとしていて、非常に良い余韻となっている。 最後まで読んで、十分に満足のできる「怖い話」だと感じた。
美咲ちゃんの声でおんどうの外から声を掛けてくるシーンが一番怖かった。僧侶から事前に注意を受けていたため主人公たちは罠に引っかからなかったが、もし引っかかっていたらと思うとゾッとする。もし自分が同じ状況下に立たされたら、恐怖や孤独の極限状態の中で罠に引っかかってしまうかもしれない。 我が子を失った悲しみによって母親が狂気じみた行動をしてしまうという話は他にもあるが、いままで自分の中ではどこか現実味を感じなかった。だが「リゾートバイト」という身近な話題から入られて急に現実味を帯びてきたため、今年予定していたリゾートバイトの計画は取りやめにしようと思う。トラウマになるレベル。
大体怖い話は最後の方にゾッとする内容が出てきて、その後の話が短くされるものを良く見るが、このリゾートバイトの話は先に異変が書かれて提示されているので、読み進めるにつれてどんどん引き込まれ、更に怖くなっていった。特に恐怖を掻き立てられたのは、おんどうでの一夜。飲食禁止、一歩も出られずに会話もしてはいけない状態で、得体の知れないものが外側で暴れている様子は非常に怖かった。その他にも突然BがAや投稿者とは違う行動、発言をしている様子も不気味だったし、女将さんが渡した大量の爪も不可解でゾワっとした。極め付けは最後の最後で臍の緒の言い伝えが出てきて、「あぁこういうことか」と納得して読んでいたら、これは女将さんが作り出したもので伝説とは非なるものだということで、最後は女将さんも救えず、結果どうなったのかがハッキリと分からなかったところが、しっかり後味が悪くて良かった。
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