こっくりさんとは?
小中学生の時、学校で「こっくりさん」が流行ったことはないでしょうか。「こっくりさん」とは、紙とペンと硬貨を使った複数人で行う一種の降霊術や占いです。日本では主に狐などの動物霊を呼び出しているとされており、そのため漢字で書く場合は、当て字で「狐狗狸(こっくり)さん」と表記されます。
地域によっては「エンジェルさま」「キラキラさま」という別名で呼ばれることもあり、やり方にも複数のバリエーションが存在しています。霊的存在を呼び出して占いをすることから、不可解な現象や体調不良に襲われた、という報告も少なくありません。ただの占いではない危険な遊びであることが、都市伝説化して未だに噂を囁かれる要因でしょう。
こっくりさんを題材とした作品
幅広い年代に広く普及しているこっくりさんは、いつの時代も作品の題材として一定の人気を得てきました。そんなこっくりさんを題材とした作品を、いくつかご紹介します。
映画『こっくりさん 本当にあった怖い話』(公開:2007年、監督:福田陽平、主演:大久保麻梨子)
映画『こっくりさん 劇場版 新都市伝説』(公開:2014年、監督: 仁同 正明、主演:鈴木まりや)
映画『こっくりさん 劇場版』(公開:2011年、監督:永江二朗、主演:鈴木まりや)
韓国映画『コックリさん』(公開2004年、監督:アン・ビョンギ、主演:キム・ギュリ)
漫画/アニメ『繰繰れ! コックリさん』(公開:2010年、作:遠藤ミドリ、監督:平池芳正)
こっくりさんのやり方
ここからは実際のこっくりさんのやり方を見ていきましょう。こっくりさんは地域によってやり方に違いがありますが、最もポピュラーでよく知られているものをご紹介します。
準備するもの
- 白い紙(A4用紙ほどの大きさが好ましい)
- ペン
- 硬貨(十円玉が一般的)
- テーブルなどの台座(紙を置けて複数人で囲むことの出来る大きさ)
こっくりさんを始める前の下準備
- 白い紙の上部真ん中に鳥居を描き、鳥居を挟むように「はい」と「いいえ」の文字を書く。その下に五十音表と数字(出来れば漢数字)を記入しておく。
こっくりさんの手順
- (1)テーブルや机などの上に準備した白い紙を置き、参加者全員でその周りを囲む。
- (2)鳥居の位置に硬貨を置いたら、参加者全員で人差し指を硬貨の上に乗せる。
- (3)参加者全員で「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになられましたら『はい』へお進みください」とこっくりさんに語りかける。降霊が成功した場合、動かさなくても硬貨がひとりでに「はい」へと向かう。動かない場合は、何度も語りかける。
- (4)こっくりさんに質問をすると、硬貨が文字の場所に動いて回答してくれる。質問したい場合は一人ずつ、順番に質問していくこと。
- (5)質問に回答してもらうごとに「鳥居の位置までお戻りください」と唱え、鳥居に戻ったのを確認してから次の質問をする。
- (6)こっくりさんを終了させる場合は、「こっくりさん、こっくりさん、どうぞお戻り下さい」と唱えると、硬貨が「はい」の位置に行き鳥居まで戻る。鳥居の位置まで戻ったのを確認したら、「こっくりさん、こっくりさん、ありがとうございました。お離れください。」とお礼を言って終了となる。
こっくりさんを行う際の注意点
- 決してふざけ半分で行わない。
- 何があっても硬貨から指を離してはいけない。
- 硬貨が鳥居に戻ろうとしない場合でも、根気よく戻るようにお願いする。終了時に帰ってくれない場合も同様。
こっくりさんを途中で止めてはいけない。
- 不測の事態が起きても落ち着いて冷静に行う。
- 一人でこっくりさんを行わない。
- (3)の段階で数回呼びかけても硬貨が反応しない場合は、別日に改めて行う。
- 「あなたはだれ?」など、こっくりさんのことを聞く質問をしてはいけない。
- 終了後、紙は細かく破いて捨てる。硬貨も使用するなどして、3日以内に持ち主の手元から離れるようにしておく。
こっくりさんの起源はテーブル・ターニング?
こっくりさんの起源は「テーブル・ターニング」と言われており、これはヨーロッパ圏で広く普及した交霊術でした。「テーブル・ターニング」のやり方は、数人でテーブルを囲み手を乗せると、テーブルが一人でに傾いたり移動するというもの。テーブルは霊が動かしていると考えられ、アルファベットを使って会話する試みも行われていました。
「こっくりさん」にそっくりですね。そんな「テーブル・ターニング」が日本へと伝わり流行し、独自の発展を遂げてコックリさんになったと考えられています。
こっくりさんの原理とされる事象
硬貨が力を入れていないの勝手に動く…。「こっくりさん」によって引き起こされる現象は、多くの識者によってその謎が解明されています。「こっくりさん」の原理となる事象を確認していきましょう。
不覚筋動
「不覚筋動(ふかくきんどう)」とは、本人が無意識のうちに筋肉が動いてしまう作用です。試しに人差し指を硬貨の上に置いてみてください。ずっと置いていると筋肉が疲れて、勝手に動いてしまいませんか?この不覚筋動で硬貨が動くと、あたかも硬貨がひとりでに動いたと感じてしまうのです。この作用が「こっくりさん」や「ダウジング」の原理ではないかと言われています。
参考→(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%81%95%E3%82%93#%E6%BD%9C%E5%9C%A8%E6%84%8F%E8%AD%98%E3%83%BB%E7%AD%8B%E8%82%89%E7%96%B2%E5%8A%B4%E8%AA%AC)
予期意向
質問された時に口には出さなくとも、既にその回答を潜在意識化で予想していることを「予期意向」と言います。例えば「ケーキってどんな味?」と聞かれたら、普通は「あまい」と考えてしまいますよね。
明治時代の哲学者であり妖怪博士とも呼ばれていた井上円了は、数々の実験から「こっくりさん」は、「予期意向」と「不覚筋動」によるものだと導き出しました。「こっくりさん」に対する質問を潜在意識化で予想し、その予想した回答に無意識のうちに動かしてしまうのです。
おわりに
1970年代、「こっくりさん」が全国の子どもたちの間で流行し、狐憑きとされる現象が多発して社会問題になりました。「こっくりさん」をやってはいけないと、親や学校から言われた記憶のある方も多いのではないでしょうか。
昔ほど流行していないものの、現代でも根強く残っている有名な都市伝説です。手順は簡単ですが、一種の降霊術であるため、行う際は注意してくださいね。
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