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6月新刊『闇塗怪談 朽チナイ恐怖』(営業のK)内容紹介・試し読み・朗読動画

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金沢市内の会社に勤める営業マンが綴る
地元石川県の最恐実話怪談!

【金沢】の祓えない髪屋敷
【二十人坂】から見えた凶兆
【能登の秘祭】キリコ祭りの禁忌
異界と繋がる【四十九院トンネル】
【野田山】を彷徨う女霊

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あらすじ

「落ちている髪」

金沢市内にある三階建ての邸宅。誰も使ってない三階の部屋に落ちている長い髪の毛はいったい…

「呪いの顛末」

後輩に恋人を奪われた女性が自らの心を守るために選んだ手段=呪い。だがそれは恐ろしい結末を呼ぶ

「真夏の夜の火事」

夢か現か著者夫妻が新婚時代に住んでいた貸家で体験した幻の火事。逃げる二人に迫ってきたモノは…

「四日目の祭り」

能登のある地域のキリコ祭りには見ることを禁じられた四日目の祭りが存在する。その正体とは…

「落ちていく」

飛び降り自殺をした男の遺体は意外なことに目立った損傷がなかった。その理由が数年後に明らかに

「帰ってくるな」

田舎の祖父の家にある曰くつきの物を封印した開かずの蔵。中を見せてくれと孫娘にねだられた祖父は

「真夜中にベルが鳴る」

一人暮らしの家で真夜中に突然固定電話のベルが鳴る。2階の子機をとる前に1階の親機で誰かが出て…

「禁忌のバイト」

事故物件に3人で1週間住むだけのバイト。著者の大学時代に実際に目撃、体験した最恐最凶の心霊事件

著者コメント

この話を書くにあたり隣県に住む情報提供者さんと現地で合流し実際にこの葬祭会館を下見に行ったのですが、新しい建物なのにどこか朽ち果てた様に感じられ、ポツンと明かりが灯った部屋だけがぼんやりと浮かび上がっていたのを今でもはっきり憶えています。そして、これはこの話を書いた後に知ったのですが、どうやら誰かが亡くなる前日だけはその部屋の明かりがゆっくりと明滅を繰り返すそうです。亡くなる前の心臓のように…。

試し読み 1話

明かり

 その葬祭会館が建てられた場所は住宅街の中だった。

 住宅街ということで多少は住民の反対も出たが、元々その地域には斎場が先にあり、その周りに住宅街が形成されたため、それ以上のトラブルはなく、無事にその葬祭会館は完成し、営業をスタートさせた。

 しかし、その葬祭会館が建てられてから奇妙なことが起こるようになった。

 元々、その土地は田んぼを造成したもので、斎場のすぐ近くに建っている。かと言ってこれまで斎場周りで怪異が起きたという話も聞かなかったし、とくに曰く付きの土地であるという噂は聞いていなかった。

奇妙なことというのは、その葬祭会館の二階の一部屋が、常に明かりが点いたままになってしまうということだった。

 勿論、通夜や葬儀がない日でもその現象は起きる。

 最初は葬祭会館の職員が消し忘れたのだろうと、二階に行ってその部屋の明かりを消したそうなのだが、やはり建物から出て車で走り去ろうとする頃には、またしっかりとその部屋の明かりが点いている。

 何度消してもすぐにまた点いてしまう不気味な部屋の明かり――。

 当然、部屋に行っても中には誰もいない。

そのうちに職員さんたちも慣れてしまい、きっと亡くなられた方があの部屋で寛いているのだろうとおおらかに考えるようになり、特に気にする者もいなくなった。

 しかしある時、葬祭会館の社長がその話を聞いて、激怒したという。経費削減をしているのに何を無駄遣いしているんだと、自らその部屋を確認しに行ったそうだ。

 結局、社長さんの帰りがあまりに遅いので、心配した職員が部屋へ確認しに行くと、社長さんはその部屋の真ん中で気を失って倒れていた。

 葬祭会館を何軒も経営しているその社長さんは、けしてお金ばかりの人ではなかった。霊の存在もちゃんと信じているし、並大抵の怪異には全く動じないくらいに肝の太い方だったらしい。

だから社内ではその時、いったい社長はあそこで何を見て、どんな目に遭ったんだ? と興味津々で憶測が飛び交っていたそうである。

だが、当の社長さんは、

「もう思い出させないでくれ! それからあの建物の二階は封鎖だ! 完全に閉鎖しちまってくれ!」

 とだけ言って、それ以上はもう誰が何を聞いても一切語ってはくれなかったという。

 今でもその葬祭会館の二階の一部屋は常に明かりが点いたままの状態になっているが、特に事故や事件は起きてはいないということである。

(了)

新刊フェア情報

石川県、富山県の下記リスト参加書店でご購入の方に、特製ペーパープレゼント!先着順、ぜひゲットしてみてくださいね。

KaBoS ベル店918-8015福井市花堂南2-16-1ショッピングシティベル内
SuperKaBoS 敦賀店914-0814敦賀市木崎15-1-1
SuperKaBoS 新二の宮店910-0015福井市二の宮5-18-8
KaBoS 敦賀アピタ店914-0811敦賀市中央町1-5-5
KaBoS イオンモール新小松店923-0861小松市沖周辺土地区画整理事業地内20街区イオンモール新小松3F
北国書林 松任店924-0817白山市幸明町180-1
北国書林 アピタ松任店924-0817白山市幸明町280
北国書林 アルプラザ店920-0014金沢市諸江町30-1アルプラザ金沢2F
北国書林 辰口店923-1245能美市辰口町520-1
きくざわ書店 アルプラザ鹿島店929-1721鹿島郡中能登町井田と部1-1アルプラザ鹿島内
勝木書店 大野店912-0043大野市国時町109
KaBoS 勝山店911-0043勝山市荒土町新保5-104
うつのみや 金沢香林坊店920-0961金沢市香林坊2-1-1東急スクエアB1
うつのみや 金沢百番街店920-0858金沢市木ノ新保町1-1Rinto1F
うつのみや 小立野店920-0942金沢市小立野2-42-32
うつのみや 金沢工大前店921-8812野々市市扇が丘162
うつのみや 上林店921-8835野々市市上林4-520
うつのみや 小松城南店923-0941小松市城南町39-1
金沢ビーンズ明文堂920-8203金沢市鞍月5-158
明文堂書店 TSUTAYA 金沢野々市店921-8823野々市市粟田5-461

朗読動画(怪読録Vol.84)

【竹書房怪談文庫×怪談社】でお送りする怪談語り動画です。毎月の各新刊から選んだ怖い話を人気怪談師が朗読します。

今回の語り手は 上間月貴(怪談社) さん!

【怪読録Vol.89】飛び降りた男がたどった悲惨すぎる末路…営業のK『闇塗怪談 朽チナイ恐怖』より【怖い話朗読】

商品情報

  • 著者名:営業のK
  • 発売日:2021/6/29 ※発売日は地域によって前後する場合があります。
  • 定価:本体680円+税
  • ISBNコード:9784801927032
  • シリーズ:闇塗怪談

【お詫び】
『闇塗怪談 朽チナイ恐怖』の目次の順番に誤りがございました。
正しくは、焼死体・道連れ・明かり・通夜の4話と
能登島・落ちていく・綺麗ならば怖くない・呪いの形の4話が入れ替わりとなります。
各話のノンブル(ページ数)に変更はございません。
お詫びして訂正いたします。

著者紹介

営業のK Eigyo no K

石川県金沢市出身。
高校までを金沢市で過ごし、大学4年間は関西にて過ごす。
職業は会社員(営業職)。
趣味は、バンド活動とバイクでの一人旅。
幼少期から数多の怪奇現象に遭遇し、そこから現在に至るまでに体験した恐怖事件、及び、周囲で発生した怪奇現象をメモにとり、それを文に綴ることをライフワークとしている。
勤務先のブログに実話怪談を執筆したことがYahoo!ニュースで話題となり、2017年「闇塗怪談」(竹書房)でデビュー。
好きな言葉は、「他力本願」「果報は寝て待て」。

シリーズ好評既刊 

闇塗怪談

金沢市に実在するふつうの会社の、ふつうじゃないブログ……YAHOO!ニュースにもなった噂の怪談ブログが本になった! 営業部所属の著者が勤務先の社長に内緒で、こっそり書き始めたという怪談はなんと350話以上、そのすべてが実話。今回その中から洒落にならない恐怖譚を厳選、これまで封印してきた禁忌譚、最新最恐の書き下ろしとともにびっしりと収録した。実話に拘る怪談ジャンキーならこの<本物の匂い>がすぐにわかるはず。それはどこまでも深く馨しい、甘美で危険な恐怖の芳香である……。

闇塗怪談 戻レナイ恐怖

金沢市に実在する塗料会社の公式ブログで、夜な夜な更新される商品とは全く関係のない実話怪談。YAHOO!ニュースも思わず取り上げたあの前代未聞の怪談ブログが帰ってきた! 大反響の第1弾からさらにパワーアップ、一度読んだら忘れられないガチネタの数々にブログ未発表の書き下ろしを詰め込んだ最恐の1冊。\幼い頃の能登の思い出…従兄弟が体験した恐怖の一夜「山姥というもの」、友人から託された奇怪な日記「彼が死ぬまでの記録」、ある左官屋が請け負ったお屋敷の秘密仕事「確かに声が聞こえた」他、しばらく震えが止まらぬ話からどこか切なく温かい話まで、不思議な闇が貴方を包み込む……。

闇塗怪談 解ケナイ恐怖

一族の繁栄を護るという“まだら様”。その忌まわしき秘密を知ってしまった男は…「知人の死因」、通夜の晩、亡くなった人といちばん親しかった者が添い寝をする風習。祖母の通夜で添い寝役に選ばれた少年は…「横に寝る」、著者が台所にいると窓から顔を出すおばさん。近所の不吉な話ばかりをしていくのだが…「台所の窓」、熊撃ちの名人が山で遭遇した恐ろしきモノ。二度と山に入らなかった猟師の末期…「猟師の死に方」他、自身の体験や友人から聞いた生々しき恐怖実話の数々。\\金沢の営業マンが綴る実話怪談。シリーズ初、著者渾身のオール書き下ろし!!

闇塗怪談 消セナイ恐怖

石川県金沢市に実在する会社で営業マンとして働く傍ら、夜な夜な自らが見聞きした恐怖体験をブログに綴る怪談サラリーマン・営業のKがおくる人気実話怪談シリーズ。\\東北の祖父の家にある立ち入り禁止の蔵。忍び込んだ子供らはその後…「蔵」、ツーリングで意気投合したライダーの左腕にある傷。それは一族の業を背負う呪いの証だというが…「目印」、身投げの曰くのある古井戸に降りてみた男を襲う恐怖…「井戸の中へ」、幼少期に件を目撃して以来続く奇妙な夢。やがて夢は現実に…「件というモノ」他、著者入魂の全編書き下ろし!

闇塗怪談 醒メナイ恐怖

金沢市中心部の事故物件。夜、その部屋で死んだ男の子がそっと布団に入ってくる…「怪異の真相」、能登地方のある家では夜の爪切りを固く禁じている。久々の帰省でつい切ってしまった男は…「爪切り」、ヘビ神の恩恵を受けるために生贄を用意する一族。名前にとある漢字の入った者が供物になるのだが…「ヘビの加護」、遊んで捨てた女の霊に祟られた男。僧侶の教えに倣い、藁人形に自分の皮膚を張り付け呪いを躱そうとするが…「身代わり」他、とびきり怖い話だけを収録!

闇塗怪談 断テナイ恐怖

橋の上や屋上で何度も見かける娘の幻影、本物は家にいるのだが…「二人の娘」、ソロキャンプの焚き火に現れた山の異形。恐怖の中、男が持っていたウイスキーを差し出すと…「酒宴」、母親の死を切っ掛けに引っ越してきた転校生。だが下校中、母と思しき女性と手を繋ぐ姿が…「友達の母親」、忍び込んだ廃屋に放置されていた玩具。どこからともなく現れた子供たちが群がり無言で遊びだすが…「おもちゃ」他、幼少期から現在に至るまでの著者自身の恐怖体験、石川県の怖い話が満載!

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