退魔師が活躍!めっちゃ呪術廻戦っぽい怪談「邪霊の巣窟」あらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話
邪霊の巣窟とは・あらすじ
邪霊の巣窟は、2chのオカルト版「洒落怖」発祥の話である。
当時小学生だった投稿者は、「近づいてはいけない」と言われているとある神社で肝試しをすることに。神社で恐怖の体験をした投稿者は、その後何年にも渡って苦しめられることになるのだった…。
起:白目で腰にしがみつく老婆
事の始まりは投稿者が小学3年生の時である。投稿者は兄と兄の友達3人に誘われ、町の大人たちから「絶対に近づくな」と言われている神社に肝試しに行くことになった。
昼間に様子を見に行った時は20代ぐらいの男性がいて追い返されたので、夜に計画を実行することに。
神社に入ると、投稿者と兄の2人と、兄の友達3人の2グループに別れて探索していく。しばらく歩くと兄が「帰るぞ、今すぐに」と言い、強引に腕を引っ張って引き返そうとしたが、鳥居の手前で立ち止まってしまう。投稿者がおそるおそる鳥居の方を見ると、 数人の子どもが白目を剥いた無表情な顔で進路を遮るように立っていた…。
兄は投稿者を引っ張って必死に逃げようとしたが、突然悲鳴を上げて倒れる。兄のほうを見てみると、その不気味な子どもたちが兄にしがみついていた…。
投稿者は恐怖で身体が動かない上に、なぜか下半身が重たい。自分の下半身に目を向けると、白目を剥いて歯を剥き出しにした老婆が腰にしがみついていた。死を覚悟して目を閉じると、頭の中に直接響くような声で、「おいで…おいで…こっちにおいで…」とつぶやいてくる…。
その声に恐怖を感じ目を開くと、老婆が下半身から上半身に這い上がってきており、顔がすぐ目の前にあった。大声で叫ぶも、なぜか近所の人には聞こえていない様子。助けを求めて兄のほうを見ると、子どもたちに神社の奥へと引きずられていくのが見えた。
なおも必死に助けを求めて叫ぶと、背後から聞きなれた声が。振り返ると昼間に会った男性をはじめ、大勢の大人たちがやってきた。「もう大丈夫だよ」という声を聞いたとたん、老婆にしがみつかれて重かった下半身が軽くなった。安堵して兄のほうを見ると、兄も無事だったようだ。
兄の友達3人は、神社の中で変わり果てた姿で見つかった。命こそ助かったものの、精神をやられて入院してしまったのである…。
助けてくれた男性は退魔師関係の本山から派遣されてきた人物で、事の詳細を教えてくれた。元々は普通の神社だったが、強い霊力を持った住職に助けを求める霊が集まり過ぎてしまい、住職は堪えきれなくなり逃げ出したという。祀っている神がいるのに住職がおらず、霊が集まったことで邪霊の住み家となったのだそうだ。神社を元に戻すにはかなりの期間が必要らしい。
恐怖体験をした投稿者は、今後この神社には近づかないと固く決意する。しかし、数年後、この事件に再び巻き込まれることになるとは、このときは想像もしなかった…。
承:神社の悪霊たち
時は流れ、投稿者は中学3年生になっていた。クラスで目立つ存在のMが、投稿者と投稿者の彼女であるAを誘ってあの神社に肝試しに行こうと言い出したのである。
投稿者はAに行かない方がいいと説得するが、Aは「他の友達も行くから」と聞く耳を持たない。Mは、そんな投稿者を臆病者と罵しりさえする。町の大人や退魔師の男性にあの事件のことを口外してはいけないと言われていたので、Aに事情を話せない。
投稿者はどうしても行きたくなかったので、Aにお守りを1つ渡すことにした。そのお守りは、投稿者と兄があの事件の時に退魔師から貰ったものだった。兄はあの事件の後も霊現象に見舞われ、退魔師関係の本山で浄化してもらうことになったため、投稿者にもお守りを渡してくれたのだ。
そして肝試しの夜。自室にいた投稿者に電話がかかってくる。電話はAの友達のRからで、「Aが大変だからすぐに来て!」と必死に助けを求めてきた。
両親に相談すると「退魔師に連絡するから、お前は家から出るな」と言われたが、居ても立っても居られずに1人で神社に向かう。
恐怖心を必死に抑えながら神社に入っていくが、何か様子がおかしい。静かすぎる。Rは電話口で叫んでいたから、叫び声や悲鳴が聞こえてくるはずだが…。
さらに神社の境内を進むと、Aが泣きながら座り込んでいるのが見えた。Aに話を聞くと、「友人たちは無言で先に行ってしまった。自分は変な子供たちにここまで引っ張られた」のだと言う。そして子どもが2~3人こちらを見ているのに気づいた。あのときと同じだ…。
子どもたちは「帰れ」、「ここから早く出ていけ」と投稿者たちに言う。その子どもたちは、どこかで見た顔だ。その瞬間、投稿者は、その子どもたちが前の事件で巻き込まれた「兄の友達」だと気が付いた。子どもたちが悪霊からAを守ってくれたことを理解し、神社からAを連れて出ようとする。
悪霊に迫られながらも神社を出ようとする投稿者。出口まであと少しのところで悪霊たちに捕まってしまったが、お守りが身代わりとなって助けてくれた。
そうこうするうちに退魔師と大人たち、それに退魔師の元で除霊を受けていた兄も駆けつけた。そして中に取り残されたままの人を助けるために、投稿者たちは再び神社の中へ入っていった。
その道中で兄に、さっき兄の友達が助けてくれたのだと話すと、涙を流しながら「あいつらは、ついこの間息を引き取ったんだ…」と教えてくれた。
肝試しに参加したクラスメイトたちは、神社の御神体の前で血だらけで発見された。重傷だったが幸い命に別状はないとのことである。しかし肝試しを企画したMだけは、神社の裏の大木で遺体で見つかったのだった…。
その後、神社では大規模な除霊儀式が行われることになった。そして、事件からまた数年の月日が流れる。
転:魔物化したM
投稿者は高校進学後に就職をして町を出て、Aと結婚をして娘のEが生まれた。そしてEが5歳になったときに、法事のため実家に帰省することに。あの神社もすっかり新しくなり、様子も昔とは全く違っていた。
神社の前を通っていると、Aが思い出したように投稿者に尋ねる。「私たちがここで襲われている時、あの悪霊の中にMがいたよね?」と。投稿者が「うん…」とだけ答えると、2人とも黙ってしまった。
投稿者が実家でくつろいでいると、外に遊びに出かけたはずのEが、半ベソをかきながら帰ってきた。そして「変なお兄ちゃんに無理やり手を引っ張られたけど、後ろから違う人に引っ張られて神社の中に入れられて、しばらく出られなかった」と言うのだ。少し待っていたら戸が開いたので帰ってきたとのこと。
投稿者は慌てて退魔師の元で修業をしていた兄に連絡を取った。兄は「お前らを狙っているのは怨霊とか邪霊のレベルじゃない!あれは魔物だ!急いであの神社に立て籠もれ!」と緊迫した様子でまくし立ててくる。投稿者は状況を掴めなかったが、兄を信じて神社に立て籠もることにした。
そして深夜、御神体のある部屋で朝を待っていると、「俺だ!開けてくれ!」と兄を語る声が。しかし、兄がそこにいるはずはない。投稿者はそれがMだとわかっていた。
すると、娘のEが「あ、Eを連れて行こうとしたお兄ちゃん」と言う。最初にEを引っ張っていったのはMだったのだ。おそらく、Eを匿ってくれたのは、除霊によって正常に戻ったこの神社の神様だったのだろう。
Mはどす黒いオーラに包まれて、真っ黒な目でこちらを睨み憎悪や殺意をぶつけてくる。もとは人間だったのに、どうしてこんな風に禍々しくなれるのか。まさに魔物…。
投稿者とMはしばらく睨み合っていた。Mは御神体があるので中には入ってこられない。Aは娘のEを抱きしめて守っている。
そして朝になると、Mは何かを口走りながら、投稿者、A、Eを交互に睨んで消えていったのである…。
結:Mの怨念
朝になり、兄たちが駆け付け、改めて浄化を行うことになった。そして、浄化が終わった後、投稿者は前回の事件の発端と真相を聞かされる。
Mはもう手が施しようのないところまで魔物化しており、浄化ではなく魂を消滅せざるを得なかったそうだ。そうなると、生まれ変わることもあの世に行くこともできない、本当の死を迎える。
前回の事件ではMは変死だと聞かされていたが、実際は自殺であった。クラスメイトを怪我させたのもMの仕業なのだという。そもそもあの肝試しは投稿者とAを標的に計画されたもので、悪霊たちを操っていたのもMであったらしい。
きっかけはMの投稿者に対する些細な恨みだった。それが徐々に膨らみ続け、腹いせに投稿者の彼女であるAを取ってやろうとしたのだが、それも失敗に終わった。
そんな時にMは、あの神社で起きた事件に投稿者が関わっていることを知り、肝試しを計画したのだ。衝撃的だったのは、肝試しに行く前にMはすでに死んでいたこと…。自ら命を断って自身が悪霊になり、投稿者を取り殺し、Aすらも引きずり込もうとしたらしい。肝試しに誘われたクラスメイトたちも、悪霊と荒れた御神体を利用するためのただの生贄だった。
しかし、お守りや兄の友人たちに邪魔をされ計画は失敗。浄化の際には大木に身を隠してなんとかやり過ごし、怨みを募らせながら機会を伺っていたのだ。
そして今度はEを利用して再び投稿者たちを襲おうとしたが、浄化された御神体に阻まれ、その憎悪に終止符を打たれたのである。
Mは消える間際に、「なんで…どうして…いつもお前ばかり…」と嘆きの言葉を残している。投稿者はMに憎まれていたことを知らなかったので意味がわからなかったが、事の真相を聞いて納得した。
投稿者の心には、巻き込んだ人やMに対しての罪悪感があったが、全てが終わった安堵に包まれていた。
後日談
この事件の後、投稿者たちは亡くなった人のお墓参りをした。兄の友人たちに感謝を伝え、魂が無いMの墓にも線香をあげて手を合わせた。Mに襲われたクラスメイトたちも今はみんな元気にしているようだ。
投稿者の娘であるEは神様に触れられたことで、退魔師も驚くほどの霊力を持ってしまったらしい。退魔師たちに、娘を預けて欲しいとも言われたが、投稿者は娘に普通の生活を送らせることを選んだ。
最後に、何度も事件の舞台となったあの神社だが、今では昔の面影はなくなって、境内で子どもが遊んだり祭りも開かれたりする賑やかな神社へと変わっているそうだ。
カテゴリ——2chの怖い話
邪霊の巣窟を読んだ人の感想
序盤は良くある怪談だなと思いながら読んでいましたが、もう終わるのかと思ってからの展開の仕方が面白かったです。怪談ものというよりまるで冒険ものを読んでいるようなワクワク感もあって、YouTubeなどでいろいろな方に朗読されているのも納得できました。それからクライマックスでMが再び登場するという展開も良い裏切りで、最後のEちゃんのオチも素晴らしく、怪談を読んだはずなのに恐怖感より爽快感が残ったという興味深い作品でした。
ただの怖い話とは違って、何年にもわたってストーリーが流れているのには信憑性があって怖いなと思いました。最初は肝試しのような軽い気持ちだったのに、大人になって子供が出来てまでその子供にも影響が出るこのお話は、幼少期の活発な子供たちへの戒めにもなるなと思いました。時間の流れが長いこともあって、登場人物が多くわかりづらい所もありますが、話が終わるとなんとも後味が悪いお話だなと思いました。良い霊もいれば、悪い霊もいるので、いろいろ気をつけていこうと思いました。
どうしてMは、そこまで投稿者を恨むようになってしまったのでしょうか。魔物と化したMも怖いですが、その怨念が何よりも怖いと感じます。自ら命を絶ってまで投稿者を苦しめたかった理由を、投稿者は本当に知らないのでしょうか。荒れ果てた神社で多くの子供たちが死んだり、精神を病んだりしたことも非常に怖いです。だいたい、ここがどこなのかわからないということは「近所かもしれない」ということ。いろいろな意味で怖い話だと感じます。
この話は人の執念の怖さを描いた作品である。起承転結でストーリーは構成されているが、起の部分から非常に怖い情景が描かれている。白目の子供、老婆という表現は想像するだけでも怖い。そこからさらにストーリーは展開し、主人公のクラスメートであるMの執念が凄まじくて普通のホラーとは異なって人としての怖さを感じた。また怖さだけでなく、兄の友人の霊が助けてくれるシーンもあり、読み応えのあるストーリー展開であった。怖さだけでなく最後まで面白く読めた話であった。
少年期に体験する肝試しや神社やお寺という割とポピュラーな設定が良く、イメージしやすい話しで良かった。「近づいてはいけない」という誰もが覚えのあるものを思い起こさせる点も良い。白目で足にしがみつく老婆というシチュエーションもイメージしやすくインパクト大。物語の起点から飛ばしていて掴みは良かった。気になったのは投稿者が彼女を引き留めなかった点、同行しなかった点がある。最後Mの恨みについての説明が少なく疑問が残ってしまった。神様に触れられた娘Eのオチも唐突過ぎて話が散らかったようにも感じた。神社に常駐していない退魔師と兄についても冒頭から後半まで神社に簡単に出入りしやすいという疑問点は残った。怪談というよりホラー漫画要素が強いが、面白い作品と感じました。
かなり長い読み物でしたが、状況がかなり詳しく書かれているので、まるでドラマを見ているかのように想像できて、ドキドキハラハラして面白かったです!また、最後のまとめ方が秀逸!そこにいる悪霊により恐ろしい出来事が起きたのか?と、思ったら全く違うという展開が素晴らしい!本当に恐ろしいのは人間の恨みなんだなぁと、しみじみと思わせられました!しかし、Mがすでに死んだ上で事態を巻き起こしていたことには驚きでしたね~。
ストーリーが何年もかけて進んでおり、巧妙だったので話に引き込まれました。一番驚いたのが、Mが肝試しに行く前に既に自らの命を絶っており、悪霊として投稿者を誘い出したところです。計画が失敗に終わり、浄化の際にも大木に身を隠して生き延び、恨みを募らせながら機会をうかがっていた執念にも身震いがおきました。助けてくれた兄の友人たちが息を引き取っていたという話も、何か胸が切なくも心が温まりました。恨みだけで単純に怖いストーリーというだけではなく、人の絆が投稿者たちを救う場面もあり、秀逸な作品だと感じました。
正直怖さはほとんど感じなかったが、物語として引き込まれた。「起」だけで十分濃い話でドラマ化しても楽しめそうだと思った。「起」で入院してしまった友達3人が「承」で亡くなっていた事がわかったシーンが良い。悪霊にならずにAを助けてくれたのは、ちょっとしみじみとした。「結」はなかなか衝撃的だった。Mが悪霊に引きずられてではなく、自ら望んで悪霊になるために自殺したというのは、この話で一番怖い所だと思った。誰かをそこまで怨む情念や執着が怖い。些細な事で恨みを買う事は日常で普通に起こり得そうなのが、少しぞっとした。
田舎の方では、このような霊的な話を時々耳にするが、想像しただけでもぞっとする。霊に引きずり込まれると死ぬのではなく、精神がおかしくなったりまるで別人になったりと、元の姿を知っているだけに周りの人間は次は自分が…と、より恐怖心を煽られる。あと珍しいと感じたのは、最初は単なる霊の話かと思ったが、最終的に人の妬み嫉みがそこに関わってきて自ら悪霊になったMのことだ。神様や悪霊など、人がどうこう出来ない領域の話も怖いが、それと同じくらい人間も怖いと思うのである。
以前恐怖体験に遭った主人公が、同級生に誘われて肝試しに行き呪われるというありがちな話ですが、悪霊の正体が、同級生であり、他の悪霊を操って、同級生をケガさせていたり、呪わせる目的で、主人公を誘っていたという恐怖。実は、退魔師によって除霊される際に、投稿者に対して「なんでお前だけが」という恨み節を言う執念や、怨念の恐怖。誘った当日に、自殺をしているという恐怖。複数の恐怖に導く要素が入っている事で、新たな恐ろしさを味わえました。
この話で気になったのが、投稿者が兄と訪れた際に最初に現れた老婆や子供たちはすでに邪霊と化していたが何とか生き延びて帰ってきていますが、その後にメインになるMは実はすでに神社に行っていて呪われていたのではないかということ。Mは、生きながら悪霊となり周りの人たちを死においやろうとしていたように思います。逆に、兄の友達は悪霊にならず死して逃れたとも言えます。何気ない日常で長い年月をかけて、少しずつ邪念を集めて悪霊となったのであれば、正に人の恨み辛みとは深いものだと思いました。人と人との繋がりはいつしか邪念を呼び、悪霊にさえなりうるというとても恐ろしい話でした。
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