禁后 -パンドラ-のあらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話
「禁后 -パンドラ-」とは
禁后 -パンドラ-の初出は、某ホラーサイト(現在消滅)に2009年に投稿された体験型の怪談である。その話が2011年に2ちゃんねるオカルト板「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」スレッドに転載され、一気に注目を集めるようになった。
以降、Web小説や動画にもなり認知度はさらに高くなったが、俄然その謎は解明されていない部分が多く、「禁后 -パンドラ-」についての考察は今なお続いている。
なお、タイトルは「禁后 -パンドラ-」であるが、「パンドラ」と呼ぶのかどうかもまだ明らかにされていない(後述)
「禁后 -パンドラ-」のあらすじ
田舎町に住む投稿者は友達数人と、興味本位で町外れに佇む「近寄ってはならない」と言われている古い空き家を探検することになった。
玄関のないその空き家に窓から侵入した一同が見たものは、異様な光景であった。そして1人がその場で発狂してしまい…。
起:玄関のない空き家
のどかな田舎で暮らす投稿者。目立った遊び場もとくにない町であったが、ひとつだけ目を引く存在があった。それが町外れの空き家である。
目を引く理由はふたつあった。
ひとつは、その空き家に関して町の大人たちが過剰な反応をすること。話題にするだけで怒られるほどである。
そしてふたつめが、その空き家に玄関がないこと。
ふたつめの理由から、この空き家は子どもたちの間で「パンドラ」と呼ばれていた。
※ギリシア神話に登場する、開けてはいけないとされた災いの詰まった箱「パンドラの箱」から名付けたのだろう
投稿者が中学に上がった時、両親の離婚を機に他県から移り住んできたA君が空き家の探検を提案してきた。はじめは乗り気ではなかった投稿者たちだが、それまで抑えてきた好奇心も相まって探検に行くことに。
探検は投稿者、A君、B君、C君、D子、D子の妹というメンバーで決行することになった。玄関がないため、1階のガラス戸を割って室内に潜入する。室内にはとくに何もなく拍子抜けする6人。しかし、廊下の奥に1台の鏡台と、棒のようなものに立てかけてある髪の毛の房を発見する。
異様な光景を目の当たりにし、探検を続行するかどうか話し合っていると、D子の妹の姿がないことに気付く。
承:「禁后」と書かれた紙
D子の妹は2階にいた。2階には1階で見たものと同じ鏡台と髪の毛の房があり、その前にD子の妹が立っていた。D子の妹は鏡台の上段の引き出しを開け、中に入っていた半紙を一同に見せる。半紙には「禁后」の文字。さらに中段の引き出しも開けると、まったく同じく「禁后」と書かれた半紙が入っていた。
みな、わけがわからない恐怖を感じはじめる。我にかえったD子は妹をきつく戒め、半紙を取り上げて元の場所に戻そうとする。しかし、誤って下段の引き出しを開けてしまう。その中を見てしばし硬直していたD子だが、引き出しを閉めるとなぜか自分の髪の毛をしゃぶりはじめた。声をかけても一心不乱に髪をしゃぶり続けるのだ…。
慌ててD子を空き家から連れ出し、空き家からいちばん近かった投稿者の家へ向かう。投稿者は母に例の空き家へ行ったことを伝えると、母は鬼のような形相で叱責した後、参加者の両親に連絡を入れて皆が集まった。
空き家での出来事を大人たちに報告すると、「なぜD子を止めなかったのか」とD子の母は激高。半狂乱のD子を残して一同はB君の家に移動。そこで分かったことは、「禁后」とは空き家で見た髪の毛の持ち主の名前であること。そして、D子はもう元には戻らず、二度と会うこともできないと告げられた…。
その後、何事もなかったかのように投稿者たちは普通の生活に戻る。ただ、D子の家は引っ越してしまい、事件以来1度も会うことはなかった。また、空き家には厳重な侵入対策が施された。
投稿者が大学を卒業した頃に、D子の母から投稿者の母に1通の手紙が届く。内容は教えてくれなかったが、母親の意味深な言葉から、D子の母がD子に何らかの処置を行ったと察する。
転:ある家系で行われていた恐ろしい儀式
投稿者たちが遭遇した空き家での恐怖体験は、ある家系で行われた「儀式」が関係しているという。
投稿者が住む町には特別な家系が存在し、その家系では、娘は母の「所有物」とされ、「娘」を材料とする儀式が行われていた。
儀式を執り行うために、母親は数人の女子を産む。儀式の材料とされるのはそのうちの1人のみ。その娘には母親のみぞ知る「隠し名」がつけられる。そして隠し名をつけたその日に鏡台を新調する。
隠し名がつけられた娘には、儀式の材料として仕立てるため、幼少時から猫や犬を切り刻む、食糞する、などといった常軌を逸した教育が施される。
儀式には3段階あるという。まず娘が10歳の時に鏡台の引き出しの上段に「娘の爪」と「隠し名」を記した”紙”を入れる。
次は13歳の時に、鏡台の中段に「娘の歯」と「隠し名」を記した”紙”を入れる。
最後は16歳になる時、鏡台の前で「母親が娘の髪を切り、それを食べる」、というものだ。その時に初めて、娘に本当の名前が明かされる。
最後の儀式を終えた翌日から母親は髪をしゃぶり続けるだけの廃人となり、死ぬまで隔離されるが、その精神は楽園に達しているという。
この悪しき習慣は淘汰されたものの、鏡台と隠し名の部分だけは風習として受け継がれたのだ。
結:「禁后」は隠し名、それを見た者は…
投稿者たちが空き家で見た半紙に書いてあった「禁后」こそが、特別な家系のみに伝わる隠し名であった。隠し名の持ち主は、家系の血を引く「貴子」という人物であった。貴子は10歳を迎える日に自宅で、爪を剥がされ、歯が何本か抜かれた状態で亡くなっていた。母の八千代は娘に泣き縋り、異変に気づいた近所の住人が八千代の夫を探すも、姿が見えない。
娘の貴子を亡くした八千代は絶望し、近所の住人が八千代の両親に知らせに行っているあいだに、娘の傍らで自殺してしまう。
住民たちから知らせを受けて来た八千代の両親はやけに落ち着いていて、夫は探さなくていい、理由は今にわかる、と言う。そして、八千代の両親は、この家に侵入する者に対して呪いをかけたと話す。
その言葉とおり、数日後、夫は八千代の家の前で、口に髪の毛を大量に含んだ状態で死んでいる姿が発見された。両親は八千代が悪習から解き放たれることを願い、儀式のことを断片的にしか話していなかったが、夫は八千代から聞いて儀式を実行したのだろう、と話す。しかも、貴子が10歳になるのを待って儀式を実行したのだろう、と。両親の願いを踏みにじった夫は、呪いによって無残な姿となったのだ…。
その後、両親は八千代と貴子を供養する。八千代の家は、二人への供養のために残されることとなった。その痛ましい事件が起こったのが、投稿者たちが探検に入った玄関のない空き家だったのだ。
ではなぜ、空き家で鏡台の下段を開けたD子は発狂してしまったのか?
その真相は、隠し名と下段を合わせて見てしまった者には呪いが降りかかり、半狂乱となるというものであった。
下段には一体何が入っているのか。鏡台の下段に入っていたのは…八千代と貴子の手首である。八千代の鏡台には「八千代の右手と貴子の左手」が、貴子の鏡台には「貴子の右手と八千代の左手」が入っており、それぞれの手が指を絡めあった状態で入っているそうだ。
そして、引き出しの内側には隠し名の読み方が書かれているのだという。隠し名と、下段に入っている手首を合わせて見たのがいけなかったようで、ふたつを同時に見てしまったD子は呪われ、発狂してしまったのだ。
投稿者の親の代にも同様の事件が発生し、ひとりが犠牲になったそうだ。
「禁后」の読み方は…?
「禁后」の読み方について。投稿者たちは空き家のことを「パンドラ」、と呼んでいたが(パンドラの箱にあやかったのだろう)、その時点では半紙に書かれていた「禁后」については無知であった。ゆえに、「禁后=パンドラ」と読むのは間違っている。なぜなら、「禁后」の読み方を知っているのは、八千代だけなのだから…。
その読み方には諸説あるが、いまだに明かされていない。八千代も貴子も既に亡くなっていることから、今後も明かされることはないだろう…。
禁后 -パンドラ-を読んだ人の感想
まず、玄関のない家と聞いただけで、外部からの人の出入りを妨げる要素があって、スリリングだと思いました。さらに、発覚する事実や出てきた手などの人間の体の部位に、思わず身の毛がよだってしまいました。また、読み方さえもこれでいいのかわからないといった謎を遺して物語が終焉へと向かうところに、サイコパス的なニュアンスを覚え、さらに恐怖感が沸いてきてしまったことは言うまでもありません。こういった都市伝説なのか本当にあった話なのかどちらかわからないにせよ、常軌を逸したただ事ではない展開は、夜中に読むと眠れなくなってしまうこと必至に感じました。
2ちゃんねる発の怖い話ではありますが、正直に言ってしまえばアニメにもなった「ハイスコアガール」で有名になった押切蓮介先生がこの時期に某ホラー雑誌で連載していた「ミスミソウ」という漫画のインスパイアに近いなというのが印象です。 時期的にも初回のホラーサイトに投稿されたのが2009年で連載中だっただけにそれはよく覚えており、ここからヒントを投稿者は受けたのだろうとは感じました。 物語の結末自体はライトな形で終わったのが、ホラーもの愛好家には評価の良し悪しが別れるところだと思います。 2010年代はホラーというジャンル以上に救いのない形で物語の結末を迎える作品が至極増えました。 それだけに真相が描かれて「ヘッー」と納得する形でのエンドはライトで逆に物足りなく感じるのも時代の潮流と言っていいでしょう。 軽いホラーを好む方ならオススメできる作品でディープかつ惨劇、絶望を好む方には少しもの足りないかもしれないと思います。
いくら空き家とはいえ他人の家に勝手に侵入して、中を引っかきまわしたら罰が当たるのは無理もありません。ただ、子どもって「入るな」と言われるほど入りたくなりますよね。選ばれただけで、それこそ畜生以下の扱いを受けなければならない。 その儀式を始めた母親は狂人になり、娘は次の儀式を始める存在になる。なんのために苦しんでいるのか。まだ娘が犠牲になることで、家が栄えるとかなら理解できます。ただ単に一家の母親がおかしくなっていくだけで、そのあたりが気味の悪い話です。
この話が実話であるなら今後も被害者が出る可能性が高い話だと思いました。子供は興味本位でわからないものを知りたがる。この話を知るだけで鳥肌が立ち、ちょっとした怪談レベルではないことを感じます。特別な家系の儀式の風習によって生み出された呪いは他人も巻き込む話になっている。話の中に出てくる両親も家に侵入するものに呪いをかけることができたり特殊な能力をもった一族の悪しき習慣を断つことができなかった話だけに強い恐怖しか感じない。
玄関のない家というのが単純ながら怖さを掻き立ててくれる。ただだからこそ鏡や髪の毛、爪といった普通であれば怖いと感じるはずの対象に恐怖を感じられなかったのが残念である。 また呪いの手順がかなり複雑で真に迫っているが、よく考えたら誰を呪っているのでもなく、かといって精神の安定を得ているかというとそれもない。結局、何のための儀式だったのだろうかと不思議だが、その意味のなさが余計に不気味さを感じる。 D子のその後もだが妹は大丈夫だったのだろうか。
儀式そのもののディティールがかなり細かく設定されており、実際の話だと信じそうになるが、よくよく考えてみると結局何のための儀式だったのかがよく分からない。 誰かを呪うためでもなく、自分が幸せを手に入れるためでもなく、ただ精神が楽園に行くだけというのが解せない。それだけのためにここまで手の込んだ儀式を行うかが疑問だ。 また最初に見つけた妹に何も起こっていない点も気になるところだ。とまあこうした細かな点が気になって、さほど恐さは感じられない。
真実味を持たせようとして手順の複雑な儀式を設定したのだと思うが、そもそも何のための儀式なのかがいまいち納得できない。それが気になって話が入ってこないのが残念だ。 あと入り口のない家の存在理由は明かされたが、なぜ入り口がないのかが解明されていない。ここが一番話の核になる部分だと思うので、もう少し深く掘り下げて書くべきだったのではないか。 実際の体験談だとしたら致し方ないのだが。全体に流れる陰鬱な雰囲気は楽しめた。
少々手の込んだ作り話のような感じではあるが、意外にも本当にあった話だと言われても違和感がないなと感じた。空き家に玄関がないという描写は想像力を掻き立てられてゾクゾクさせられるし、鏡台や棒に立てかけられた髪の毛の房などは異常な状況を連想させられて、話に引き込まれてしまう!とくにD子の妹が居なくなった辺りは、一瞬妹の方がどうにかなってしまったのかとヒヤッとさせられ、次いでD子が慌てて鏡台の引き出しの下段を開けてしまい、驚愕するシーンは何が入っていたのか?とドキドキさせられました!とても良くできたストーリーで怖かったです。
これは創作なのか実際にあった話なのか、オカルトを読み慣れていない私はまず気になってしまった。 この話はホラーサイトから2ちゃんねる、そしてweb小説や動画にまでなるくらい有名とあり、よっぽどこの話には魅力があるのかはたまた呪いの効力があるのか?と思ってしまった。 私も魔法のような科学では証明できない不思議な力にはとても興味があるし、「禁后」の読み方も解明されていないところもまた気になってしまうのでこの話が伝説のように語り継がれる理由もわからなくはないが…。 でもやっぱり怖い話はなるべく聞きたくないのが私の本音である。
全体的に緊張感のあるストーリーだった。心がざわつくような妙な感覚を覚えた。疑問点としては、八千代の両親は、自分の娘にはこの儀式をしなかったということなのだろうか。同じ家系ではあるが、儀式は任意なのかが疑問に思った。地元の人が禁忌として扱っているものについては、興味本位で触れてはならないと思った。そのような教訓も含めて、この話ができたのではないか。快楽を求めすぎる先にある恐怖のようなものを感じる話だった。
読んでみての感想は、怖い話だと思うのですが、ありきたりな怪談のような感じもします。昔ながらの悪習というのはあるかも知れませんが、この儀式を行う意味がよく解らないので、ピンと来ませんでした。また、とても冷めた事を言うようですが、そもそも周囲の大人達が、その建物をそのまま残しているので、子ども達は興味本位で行ってしまうのでしょう。立ち入り禁止や侵入したことを怒るのであれば、その建物を破壊すべきでしょう。
怖い話は苦手であるが、興味があったので読んでみた。鏡台の下段を開けてしまい、呪いのように発狂してしまったD子さんが見たものは一体何だったのか?また、D子さんの母親がD子さんに行った何らかの処置とは具体的にはどのような処置で、彼女はその後どうなってしまったのか?その点もとても気になった。玄関のない空き家がどんなものなのか想像するのが少し難しかった。ガラス戸を割って入ったというのもなかなかすごいなと思った。『禁后』の読み方は知りたい気もするが、読めてしまうのもどこか怖い気持ちがある。
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