田舎にある不気味な道祖神の正体とは！？怪談「かんひも」あらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話

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「かんひも」のあらすじ

少年の夏の日のある思い出。母の実家に帰省した投稿者はそこで、同じく帰省中の少年Kと出会う。

Kと仲良くなり山で遊んでいた投稿者。初めて入る場所で奇妙な石碑を見つける。さらに、その石碑の下に埋められていた古めかしい木箱の中から、不気味な腕輪を見つけ、それを元凶とする恐ろしい事態が起こる…。

起：細道に建つ道祖神の石碑

怪異の舞台は長野の山奥、新町から更に奥に入ったところである。当時、小学3～4年生だった投稿者は、夏休みを利用して母の実家に遊びに来ていた。

民家が数軒に山と畑と田んぼしかないような田舎だったが、幸運にも隣の家にも同じように遊びに来ていた子どもがおり、投稿者はたちまち仲良くなって一緒に遊ぶように。その子どもはKといい、学年も投稿者と同じくらいであった。

友達がいるといっても、周りに何もない山奥での遊びは探検ごっこぐらいである。母の実家に来てから3日目の夕方、午後3時を過ぎて日も落ち始める頃に、投稿者たちはまだ入ったことのない山に入ってみることにした。

最初は人の通るような道を進んでいたが、気が付くと細い獣道に入り込んでおり、ふとKが「あれ、なんだろ？」と遠くを指差す。そちらの方を見ると、風雨にさらされて苔むした50センチくらいの石碑のようなものが見えた。

承：古びた木の箱に入っていた腕輪

近づいて苔や泥を取り除いてみると道祖神のようであったが、何か違和感を感じる。普通、よく見かける道祖神といえば男女が仲良く寄り添う形の造りが多いが、その道祖神は4人の人物が立ったまま絡み合い、表情は苦悶を浮かべているかのような奇妙なものだった…。

辺りもずいぶん暗くなり、奇妙な石碑に薄気味悪さを覚えた投稿者は、Kの手を引いて帰ろうとした。その時、Kが「なんかある！」と声を上げ、石碑の下に半分埋まった古びた4センチ四方ぐらいの木の箱を見つけたのだ。

嫌な予感を感じる投稿者をよそに、木の箱を取り出すK。取り出された木の箱は腐ってあちこちボロボロで、表面には布のようなものを巻いた跡があり、墨か何かでお経のような漢字がびっしりと書かれている。

壊れた箱の隙間から何かが覗いており、「何かある！」とKはそれを引っ張り出す。出てきたそれは腕輪のような形をしていて、ビロードのような黒くて艶々とした縄紐状のもので結われていた。

腕輪は直径10センチくらい。石のようなもので5ヵ所が止められていて、石の真ん中には読めない漢字が彫りつけてある。それは土の中に埋められていたとは思えないほど艶々と光っており、不気味だがとても綺麗に見えた。

「これ、俺が先に見つけたから俺んの！」Kはそう言うと、半泣きの投稿者の制止を聞かずに腕輪を腕にはめてしまったのだ。その瞬間、「ケーーーー！！！」という猿とも鳥とも似つかない妙な鳴き声が山の中にこだました…。

気が付くと辺りは既に真っ暗になっており、気味が悪くなった投稿者とKは急いで山を下りて家に帰ることにした。

転：Kの腕に纏わりつく「かんひも」

家に帰ると、先ほどの腕輪のことなど忘れていた。夜ふかしをして母親に小言を言われていた夜10時ごろ、「ジリリリーン！」とけたたましく電話が鳴り響く。電話に出た投稿者の祖父は晩酌で顔が赤かったが、話を聞いているうちに顔がサァっと青ざめていった。どうやら電話の相手はKの父のようである。

電話を切った後、「裏の山に行ったのか！？」と投稿者に詰め寄る祖父。そのあまりの剣幕に今日起きた出来事を話すと、傍で聞いていた母と祖母も真っ青になり、「迷信じゃなかったのか…」と尋常ではない様子。

隣のKの家に行くことになり、投稿者と祖父と祖母で向かう。Kの家に入った瞬間、Kの父の怒号が聞こえる。と同時に、死臭のような臭いが漂ってきた。

居間に入ると更に臭いは強まる。そこには目の焦点が定まらず、半開きの口からは泡のような白いよだれを垂れ流すKが横たわっていた。そして腕にはあの腕輪がはめられている…。

腕輪は昼間とは様子が違っており、紐はほどけてその1本1本がKの腕に刺さっているようで、Kの腕は腕輪から先が黒くなっている。黒いものは動いているように見え、刺さった紐がKの手の内側で蠢いているようであった。

その光景を目にした祖父は「かんひもじゃ！」と叫び、台所へ走っていく。すぐに戻ってくると手には柳葉包丁が握られていた。祖父は「腕はもうダメじゃ！まだ頭まではいっちょらん！！」と言い、Kの腕に包丁を突き立てたのだ。

悲鳴を上げるKの両親。しかしKは無反応で、腕からも血は流れていない。その代わりに無数の髪の毛がぞわぞわと傷口から外に這い出していく…。

その後、坊さんが駆けつけて一晩中Kは読経をあげられ、地元の大きな病院に運ばれていったそうだ。

投稿者の祖父は「頭まで行かずに良かった」と何度も言っていたが、詳しいことは教えてくれなかった。しかし、祖母が「かんひも」は「髪被喪」と書くこと、あの道祖神は「阿苦（あく）」という名前であることを教えてくれたそうだ。

結：「髪被喪」が生まれた背景

投稿者はこの話を語ったあと、事件が起きた母の実家に戻り、改めて「かんひも」について調べた。わかったのは、「かんひも」はまじない系の呪物であること。そして、以下のような背景で生まれたことであった。

昔々は集落内での婚姻が主だったが、そうすると血が濃くなり病弱な子が生まれやすくなる。なかでもひどい病の子を「凶子（まがご）」と呼び忌み嫌い、その凶子を生んだ母親も、「凶女（まがつめ）」と呼んでいた。

凶子は集落に災いをもたらすとして親子共々殺されていたのだが、その方法がえげつないものであった。詳しい方法は分からないが、凶女に凶子を殺させ、その後に凶女をむごい方法で殺すという…。

凶女は死んだ後も災いを呼ぶと考えられており、そこで「かんひも」が生まれた。「髪被喪」という字には、「髪」のまじないで「喪（良くないこと・災い）」を「被」せるという意味がある。村人たちは、凶女の髪の束を凶子の骨で作った珠で留めて呪具とし、隣村の土地に埋めて災いを他の土地に被せようとしたらしい。Kが見つけたのは腕輪であったが、首輪などの他の形状のものもあったようだ。

しかし呪いには呪い返しが付きもの。呪いを被せられた村は、埋められた「かんひも」を掘り返し、呪い返しをした。「阿苦」と呼ばれる道祖神は、そんな「かんひも」の呪い返しを防ぐためのものだったようだ。

ちなみにKは一命を取り留めたが、一生寝たきりの体となってしまった。噂では、脳に「髪の細さほどの無数の穴」が空いていたそうだ…。

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かんひもを読んだ人の感想

以前、2chで怖い話を読むのにはまっていたことがあり、かんひもはタイトルだけでは内容を思い出せなかったが、読んでみたら話の筋がかなりはっきりと思い出されてきた。情報がよく整理された話だと思う。なぜそうなったかの理屈が丁寧に説明されていくので、その信憑性に引き込まれていくのだと思う。前も思ったが、子供の腕を切るという祖父の行動が実社会的に何も問われない流れも印象的。呪術的な話の怖さの他に、現代に残る村社会気質という別の怖さも感じられる。

「かんひも？」と、はじめから不思議な感じがします。少しずつ恐怖と謎が深まっていくので、読んでいてジワジワと怖さが増していきます。途中の擬音語もビックリします。情景がイメージできるので、余計に怖く感じます。祖父たちの「かんひも」に対する恐怖感が、とても緊迫感があってドキドキします。腕から髪の毛に移行するシーンは、鳥肌が立つほど怖さがあります。髪被喪の説明も興味深いもので、説得力があるなと思います。もっと長編にしても面白いかなと思いました。

「かんひも」という文字の意味するところが分からずに読み進んだが、最後の結末が自分の想像とは全く違う展開になった。地方には色々と迷信めいた話が数多くあるが、この「かんひも」もその一つでありきっと本当なのだと感じる。いつの時代でも怨念というものは非常に怖く、そして時代を超えて物に宿った怨念の恐怖を感じた。長野県の某所という事で自分の住まいからも決して遠くない所でこのような話があると思うと非常にゾッとした。

「かんひも」という言葉は初めて聞いたので、わくわくしながら読んだが、気軽に読んで後悔した。色彩豊かに書かれていたので、情景をイメージしやすく、読むのはあっという間だった。ラストまでが急展開だがすごく引き込まれ、呪いにあった人物の最後が恐ろしい。その土地に伝わる話もむごいものだった。呪いにあった人物の最後が、あまりにもひどいものだが、気軽によその土地で不審なものを開けたのが、彼の運命を変えてしまったんだな、と思った。

腕輪が艶々としていて、人につけさせたい！と思わせるような風情で、好奇心を掻き立てられて、腕輪を投稿者よりも先に手に取ったKが「これ、俺んの！」と叫んで、サッサと自分の腕につける様子は、いかにも子供らしいと想像ができて、リアリティーがある。村の中で結婚を繰り返すことで、ひどい病の子が産まれ殺される話も、昔はあっただろうなぁとも思えて、話全体が現実っぽくて怖かった。最後の結末が、腕を切り落とされたKが寝たきりになり脳には無数の針のような穴があったというところは、とても恐ろしくゾッとした！投稿者の祖父が「頭までいかなくて良かった」としきりに言っていた意味が分かり、最後まで話を楽しめた。

読んだ後、心の中に暗い影が残るような、何とも言えない不気味な話だった。全体的なストーリー自体もそうだが、「集落内での婚姻が主で血が濃くなっていった」、「ひどい病を持って生まれた子を凶子、産んだ母親を凶女と呼んで忌み嫌っていた」とか「脳に髪の毛の太さ位の細かな穴が無数にあいていた」とか、話を彩るディテールの部分の妙なリアルさとその気味の悪さが凄く効いていて、読んでいてすっかりその世界観に取り込まれてしまった。

主人公の祖父が迷いもなく包丁で腕を切った場面が一番怖く、震えた。迷い無く”頭までまわってない”と言い切きる祖父。過去にも同じような事があったのだろうか？と昔の話まで想像してしまった。呪い系の話は現代では半信半疑で捉えられているが、実際にある事だと思う。科学では解明できない不可思議な事は多い。昔の人達はそういう事を大事に扱ってきたが、だんだんと忘れ去られていっている。主人公の祖父と祖母が詳しい話を教えてくれなかったのは何故か？もし、言い伝えがあるのなら主人公に話して代々伝えていく事が子孫を守ることになるのに。

まずKの行動の無邪気さに驚く。石碑を見つけ、石碑の下に何かあるのを見つけ、木箱を取り出し、木箱の中から何かを引っ張り出し、自分のものだと主張して腕輪をはめる。その間、投稿者はずっと止めようとしているのだがKは止まらない。投稿者は小学3～4年生ということなので、恐らくKも同じくらいの年齢だろう。それくらいの年齢ならば、そういった無邪気さも普通かもしれない。そして周りの制止を聞かずどんどん突き進む性格は恐れ知らずで、やや傲慢であるのかもしれない。この話はそういったまだ大人にならない子供に対する教訓のようでもあるし、また「かんひも」が凶子というものに関わっていることから、「かんひも」自体にそうしたちょっと浮いた子を呼び寄せる何かがあるのかもしれない。

子供と田舎が登場する話はそれだけで怖くなる感じがしました。古くから村に伝わる言い伝えや伝統、呪いの話は特に興味深いです。道祖神と箱の中の腕輪がおぞましく感じられそれだけで怖かったです。祟りにまつわるエピソードも怖いだけでなく悲しさもあり良かったと思います。無数の髪の毛の表現がリアルで生々しく気味の悪さを増強させていました。取り憑かれてしまった子供の描写も生々しくてゾッとしました。実際にある長野県の地名が使われていたのでリアリティーがあると思いました。

気持ちの悪い話だ。昔の風習で凶女と凶子のようなものは良く聞くけれど、そこから呪具を作って呪いを他所に移そうというのを初めて聞いたが、悪辣な村だと思う。余程大きくて裕福な村だったんだな。それにしても、祖父の行動に迷いがないので、意外に呪詛返しが多いのか、祖父も何度か経験があったのか、気味が悪い。「かんひも」が脳まで辿り着いていたらどうなったのか、非常に興味深い話である。何にしても、神様を祀ってる所のものは、持ち出してはいけないということだ。