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【オカルト考察】「某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました」あらすじ・まとめ・考察-2chの怖い話

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ネット上に流布する多くの名作怪談。考察され、朗読され、好事家たちの間で「あの話、知ってる?」と語られるそれらにはさまざまな魅力がある。今回はそんな名作怪談の中の一つ、「某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました」をオカルトマニア煙鳥さんの考察メモを元に前後編に分けて、紐解いていく。

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■「 某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました 」を追う

 前回「Vケット3の怪」記事執筆において、「怪談と技術の融合」がテーマのサークル「オカのじ」の協力を全面的に仰いだ。
 電話やスカイプでやりとりをする中、メンバーの一人である煙鳥さんから「『某宗派の僧侶』の話知ってますか? ネットで話題になったんですよ」とネタを振られた。
 普段実話怪談の取材はするものの、ネット上に流布される怪談に対して不勉強な私は、「話題になった」という点に興味を持ちさっそく「某宗派の僧侶」を検索した。

(再掲):おうまがタイムズ http://www.oumaga-times.com/archives/1058539255.html
 
 煙鳥さんのいう「某宗派」は正確には「某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました」という題で掲示板に連投された実話怪異譚で、初出を知ることはできなかったものの、今でもまとめや考察サイト、朗読動画などを容易に見つけることができる。

 投稿主である「某宗派の僧侶」が受けた依頼の顛末を口語体で書いたもので、中々の長尺ながら飽きさせず息を呑む展開があり、なるほどネット上の名作怪談という風格がある。
 
 簡単なあらすじとしては「『お墓を移してほしい』という依頼を受けた某宗派の僧侶が、宗派の範疇にないことを理由に断ろうとするも押し切られ、あれよあれよと不思議な体験に巻き込まれる」というもので、「依頼者の庭から出土する骨」「ラップ現象」「突如現れ消える灰色の作業服の男」など怪談ファンが涎を垂らしそうなもの、場面が多く登場する。

■「 某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました 」の魅力

 実話かフィクションか、と問われると定かではないが、「僧侶が体験したエピソード」という体裁で書かれているゆえに、十二分に実話感を得られるということだけは約束したい。

 ネット上のオカルトコンテンツには「実話怪談」「都市伝説」「意味がわかると怖い話」のほか、完全創作の「師匠シリーズ」などもあり、オカルトネット民は大らかにさまざまなコンテンツをシームレスに楽しんでいるように思える。
 
 この「某僧侶」はその中でも「実話怪談」(の体裁)に類するものだ。
 煙鳥さんはこう語る。

「この話、細部に色々と秘密が込められているんですよ。ただ雰囲気だけじゃなく、読む人読んだら、あっと気がつくような描写があって。不気味さの奥にちゃんと史実や現実にある規律を読み取れるんです」

 「某僧侶」は締めくくりに陰鬱さを残すものの、起承転結がはっきりとある筋立てになっている。
 不可解な感触を孕んだ読後感も、人気の秘訣だ。
 
 煙鳥さんはさらに続ける。
「この怪談は何となく怖そうに書いているだけではない、描写に細かな裏付けがある。と思ったんですね――」

 煙鳥さんは生粋のオカルトマニアで、不定期に怪談や考察、オカルト情報をネット上で配信することで有名だ。

「――それで、俺なりにこの話を考察してみたんです。テキストに纏まっている分あるんですが、記事で使います?」   
  
 以下の文、は煙鳥さんから譲り受けた「考察メモ」を元に筆者が再構成したものとなる。ヴォリュームがあるため、前後編に分けるということと、あくまで他者が記したものであるゆえ、「某宗派」の全文は本記事では掲載しない。
 ここから先はまず上記リンク(まとめサイト、朗読動画などは幾つかある)を辿り、「某宗派」の全容を知った後に読んでほしい。

■煙鳥さんによる「 某宗派の僧侶なんですが奇妙でゾッとする恐ろしいご依頼を受けました 」の考察

この怪談の冒頭は

>先日、ちょっと不思議なご依頼を受けて某塙さんで有名な県に行きました。 

から始まる。(以下、引用文行頭に「>」を付加)

 「某塙さん」と言えば芸人の「はなわ」さんとその弟でコンビ「ナイツ」の「塙宣之」さん。はなわさんは地元県のことをユーモラスに歌った「佐賀県」というコミックソングを持ちネタとしていることで有名だ。

>初めて来た場所でしたが私の認識では海鮮物(牡蠣や海苔)が美味しいと聞いた事がある地域でした。

 牡蠣や海苔が美味しい佐賀県域といえば、有明海周辺が該当する。

 地図画像を見ると、なるほど山も海もある。
 軽くぼかしているが、地図を出すと序盤の描写が思いのほか立体的だと分かる。

>私達の教義では加持祈祷や呪(まじな)いの類は一切禁止されています。

>漫画の孔雀王みたいな退魔師みたいなことは勿論出来ません・・・

>同門の大先輩の言葉に「怪は4種に体系化される、偽怪、誤怪、仮怪(かかい)、と真怪である」
というものがありますが、私には今ここで経験したことがどれに当てはまるのか、

 この引用は「某宗派」がズバリどの宗派に該当するかのヒントになり得る部分となる。
 中でも「同門の大先輩の言葉」がヒントどころかほぼ明確に宗派を指し示している。

 井上円了は、迷信を打破する立場から妖怪を研究した妖怪博士と呼ばれた哲学者で、現在の東洋大学の設立者だ。
 円了は浄土真宗の宗派の一つ、真宗大谷派を信仰しており、「怪は4種にー」を提唱したまさにその人である。

井上円了wiki
 
 ここまでを踏まえると、体験者(語り部)のお坊さんはいわゆる「お化け」の存在を否定している側に属していることが分かる。
 そして、実はこの怪異譚の肝はここにある。
「お化けはいます。祟りはあります。私がお祓いをしてしんぜましょう」というスタンスではないお坊さんが円了の言葉に反するような現象を目の当たりにしてしまう部分が、恐怖をそそるのである。そんなこと、あるわけない……でも……。という読者の目線を持つお坊さんの体験談。これが面白くないわけがないのである。

――(後編)へ続く

協力:煙鳥さん(@chick_encho

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