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悲しくも恐ろしく残酷な話 都市伝説「ひきこさん」 まとめ

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ひきこさんとは

2000年代の頭に生まれたインターネット発の都市伝説だといわれている。不特定多数のユーザーにより、物語はどんどん尾ひれがついてコピペされ出回った。

雨の日に人気のない道を歩いていると、白いぼろぼろの服を着て、等身大の人形のようなものをズルズルと引きずっている女と出会う。よく見ると、女の目は異様につり上がって口は耳元まで裂けていた。そして女が引きずっていたのは子供の人形ではなく、小学生で子供そのものだった。女は自分の姿を見てしまった子供を捕らえて、肉の塊になるまで引きずり回し、特定の場所に連れて行き放置する。彼女がそんなことをする理由は自分が受けた酷いいじめに対する恨みからで、子供に憎しみをいだき捕まえては肉塊と化すまで引きずり回しているのだ、という。

この都市伝説はテレビ番組で紹介されて全国に広まった。現在はホラー映画のテーマにもなり、2008年同名の映画にもなった。

ひきこさんのあらすじ

ひきこさんのあらすじを、有名になったコピペから引用してみよう。

ある日、小学生のA君は通学路ですごいスピードで動いている女と遭遇した。その女は異様に背が高かった。そして白いぼろぼろの着物を着ていて、長い髪が顔にかかっており目と口が横に裂けていた。女は何か引きずっていたがそれはちょうどA君くらいの大きさの人形だった。だがよく見るとそれは人形ではなく、人間の子供そのものだった。女はA君を追いかけてきた。だが何とか無事に逃げ切ることができた。しかし翌日、A君の前に再び昨日の女が現れた。そして今度こそ捕まってしまい女はA君を引きずり去ってしまった……。

女の名前は森妃姫子(モリヒキコ)と言った。子供の頃に先生にえこひいきされたこと、名前が偉そうだということ、そんな理由で長い間酷くいじめられていた。そしてある日のこと、いじめグループの生徒に「ひいきのひきこ、引っ張ってやるよ!」と言われ、学校中を引きずり回され、顔中に消えないひどい傷を負わされてしまった。

学校に行かなくなったひきこさんは、家でも両親に暴力をふるわれ続けた。そして自分でも傷が治るたびにカッターナイフで顔を切りつけて、口と目を切り裂いた。そのうち部屋からも出なくなり、親が日に1度コンビニの100円おにぎりと水を差し入れるだけになった。

雨とヒキガエルが好きだったひきこさんは、そのまま大人になりついに両親に復讐をすると、雨の日に外に出て小学生を襲うようになった。小学生の足を捕まえるとズルズル引きずってボロボロの肉塊にしてしまうのだ。自宅には引きずられた両親と小学生がコレクションされている。しかし、いじめられている子と、自分をいじめていた子と同じ名前の子には近寄らない。ひきこさんに会ったら「引っ張るぞ!引っ張るぞ!」と叫ぶか、鏡を見せるかすると逃げてしまう。

ひきこさんの特徴

元は背が高く成績優秀で顔も可愛く心優しく先生からも可愛がられていた少女であった、とされている。その少女が怪異となった経緯は「他の生徒からの妬みによるいじめ」、それに「醜くなってからの両親の虐待」である。ひきこもりになった、もしくは両親から軟禁されていたというバージョンがあるが、部屋に閉じこもっているうちにどんどんと怪異となっていった経緯は同じである。殺した両親もそのコレクションの中に入っている場合もある。これは1988〜89年に埼玉で起きた子供を対象にしたシリアルキラー事件の影響も感じられる。

ひきこさんの名前の由来

ひきこさんの本名は、あらすじの中でも触れているように森妃姫子(モリヒキコ)だという。子供を引きずるところから ”引き子” と考えられる。またいじめられて家で引き籠もっていたことから “ひきこ” とも考えられる。姓名全体の(モリヒキコ)は引き籠もりのアナグラムであると考えられる。これは噂の発生の背景に、当時大きく社会問題化しはじめていた「引き籠もり」に対する偏見があったと考えられる。またいじめられた原因の ”えこひいき” も響きが似ている。他に大好きだっという ”ヒキガエル” も連想させる。

ひきこさんのルックスの特徴

・異様に背が高い

・白いボロボロの服、着物を着ている

・髪の毛が長い

・目は異様につり上がり、口は耳元まで裂けている

・顔にひどい傷がある

この特徴のうち「目は異様につり上がり、口は耳元まで裂けている」というのは昭和に爆発的に流行った都市伝説「口裂け女」を思わせる。子供を襲うという特徴も、口裂け女の影響が大きいと考えられる。

また望月峯太郎氏の漫画作品「座敷女」(1993年)に出てくる「サチコ」という不気味なストーカー女がロングコートにロングヘアーの大女という姿の影響も感じられる(サチコ自体が口裂け女の影響を感じさせる)。

ひきこさんの対処法

ひきこさんに襲われない子供というのが存在する。その対象は…

・いじめられっ子

・ひきこさんをいじめていた子供と同じ名前の子供(具体的な名前は不明)

また、もしひきこさんと出会ってしまったら…

・「引っ張るぞ!引っ張るぞ!」と叫ぶ

・鏡を見せる

…ことで被害を避けることが出来ると言われている。

ひきこさんのバリエーション

ひきこさんの話には細部が違うバリエーションがいくつかある。代表的なのは、ひきこさんが、いじめにあった子供本人ではなくその母親だというもの。いじめが原因で引き籠もりになり、果てには自殺して死んだ息子の未練を晴らすため、夜な夜ないじめっ子を探し回り続け、見つけた子供を片っ端から引きずり回しているという説もある。母親バージョンではひきこさんが子供を引きずるのは、息子がよくいじめっ子に引きずり回されていたからであり、一部ではそのまま引きずられていじめで殺されてしまったバージョンもある。

それ以外の派生バージョンとしては…

・ひきこさんを目撃し、ひきこさんからも見られてしまったら、今度は自分がターゲットになってしまう。

・ひきこさんは外出時間が決まっている

・ひきこさんは一度死んだが、自分をいじめた相手に復讐するために蘇った

・引きずって肉塊にした子どもは最終的にある場所に放置される。そこはかつてひきこさんがいじめを受けて死んだ場所、または自殺した場所である

・ひきこさんは、いじめられっ子の母親が悪霊と化した存在である

ひきこさんから派生したネットの体験談

これは俺が職場実習に行った時の話だ。職場実習である街に電車で行ってたんだけど、その当時俺はオカルトにめっぽうはまってて、ちょうどひきこさんが流行ってた。で、ひきこさんって小雨の降る中、人を引きずりながら現れるって聞いていた。その日も雨がちょうど降ってて、まぁボチボチ実習も終わっていざ帰ろうと思ってとぼとぼ歩いてた。そんなとき、ふとひきこさんの話を思い出した。「まさかそんなのいるわけないよな」って思ってたら、いきなり俺の耳元で女の人の低い声で「うぉっ」って聞こえたんだよね。咄嗟にぱっと振り返ったんだけど、誰もいなくて怖くなって急いで駅まで早足で逃げたんだけど。結局あの声の主が件のひきこさんだったのか、もしくは別のモノだったのかはいまだに疑問に思っている。まぁ怖いって気持ちから、そういう風に聞こえたのかもしれんけど。

ひきこさんの元になったと思われる口裂け女

口裂け女(くちさけおんな)とは、1978年12月ごろから発生し、1979年の春ごろから夏ごろに日本中で大流行した都市伝説である。当時は全国の小学生・中学生に大きな恐怖を与え、警察への通報・パトカーの出動や、生徒の集団下校まで行われ、マスコミも度々特集を組み当時は社会問題にまで発展した。が、夏休みに入るとこの噂は急速に沈静化した。また2004年には韓国でも流行し、中華圏でも有名になった。今回の新型コロナ騒動でマスク姿が日常になったということから、再び脚光をあびている。

噂の内容は口元を完全に隠す大きなマスクをしたコートを着た女性が、夕方ごろ子供に 「私、きれい?」と訊ねてくる。「きれいです」と答えると「……これでもきれい……?」と言いながらマスクを外す。するとその口は耳元まで大きく裂けていた、という噂である。もし「きれいじゃない」と答えるとその場で包丁や大きな鋏で斬り殺されるという続きもあった。

口裂け女の登場は、先ずは夢の中、その次に電話がかかってくる、そして最後に目の前に実際に現れる、というバージョンの噂もあった。そして「好きな色は」などの質問を投げかけられ、それに正解するとそれ以降は現れないというものもあった(正解の色はエメラルドグリーンなど諸説あった)。

参考:ひきこさんのあらすじ感想まとめ 2chの怖い話.txt

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