メリーさんとは
怪談系の都市伝説で、「メリーさんの電話」と呼ばれる怪談に出てくる人形の名前である。
どこまでも追いかけていく人形の恨みのようなものが、じわじわと恐怖を感じさせる。
携帯のチェーンメールでもメリーさんの話が広まった。
そこには下記のストーリーがあり、「このメールを送らなければあなたも死ぬ」と書かれていた。
メリーさんのあらすじ
とあるところに女の子が住んでいた。
女の子は小さなころから人形を大事にしていた。
その人形には「メリーさん」という名前をつけていた。
あるとき、女の子の一家が引っ越しをすることになった。
もちろんメリーさんを大事にしていた女の子は、それを持って引っ越しをするはずだった。
だが、引っ越しの最中にゴミにまぎれてメリーさんは捨てられてしまった。
とても落ち込んでいる女の子を哀れに思った両親は、
「新しい人形、買ってあげるから」
となだめて、別のぬいぐるみを買ってあげてることにした。
新しい土地での生活にも慣れ、女の子も新しいぬいぐるみを可愛がるようになり、やがてはメリーという人形の存在を忘れていた。
そんなある日の夜、家に電話がかかってきた。
両親がまだ帰宅していないため、女の子が電話に出る。
「もしもし」
「…」
「もしもし? どなたですか?」
だが電話は無言だった。
またあくる日も電話がかかってきた。
きまって女の子が一人で家にいるタイミングである。
「もしもし」
「…」
「もしもし? どなたですか?」
今度は電話の向こうから声がした。
「私、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの」
「えっ!?」
ガチャ…。
電話はそこで切れてしまった。
メリーさんは女の子が失くしてしまった人形の名前。
女の子はメリーさんのことを思い出した。
ゴミ捨て場にいる…。
女の子はイヤな予感がした。
すると直後、また電話が鳴り響いた。
またきた…と思いつつも、両親からの電話かもしれないと思って女の子は受話器をとった。
「もしもし、お母さん?」
「私、メリーさん。今、○○駅にいるの」
ガチャ。
また電話が切れてしまった。
○○駅は女の子が住んでいる最寄りの駅だ。
女の子はどんどん不安になっていった。
そしてまた電話が鳴り響く。
「またメリーさんなんじゃ…?」
いやな予感がしたが、女の子はまた母親からの電話かもしれないと思い受話器をとった。
「もしもしお母さん!? 早く帰ってきて!!」
「私、メリーさん。××の前にいるの」
ガチャ。
××というのは、女の子の家のすぐ近くにあるお店の名前だ。
女の子は、いたずら電話の主が次第に近づいてきている事に気づいた。
女の子はいいようのない恐怖に襲われた。
「ヤバい……」と思った女の子は、母親に連絡しようと受話器をとった。
するとほぼ同時に電話が鳴ったため、図らずも電話を受けてしまった。
受話器から声が聞こえてくる……。
「…はい…」
「私、メリーさん。今、××ちゃんのお家の前にいるの」
ガチャ。
そういって電話は切れた。
「××」は自分の名前だ。
女の子は恐ろしさで震えが止まらなくなった。
自分の名前を言った上に、なんと自分の家の前に電話の主はいるのだ。
あまりの恐怖に女の子は電話の線を抜き、玄関から外の様子を伺った。
すっかり日が暮れた外には誰もいない。
街灯が道路を不気味に照らし出しているだけだ。
居てもたってもいられなくなった女の子は、玄関の鍵がかかっていることを確認した。
そして自分の部屋に閉じこもろうと階段に足をかけた。
するとその瞬間、電話線を抜いたはずの電話が鳴り響いた。
鳴るはずのない電話が鳴った。
もうわけがわからなくなった女の子は、恐怖と怒りでいっぱいだった。
そして電話に出た。
「あなた一体なんなのよ! いい加減にして!!」
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」
メリーさんの派生パターン
話の中では、女の子がその後どうなったかは語られていない。
余韻で恐怖を語る怪談としてのパターンである。
そのために、その後どうなったかいろいろな派生パターンが語られた。
以下のようなものである。
・振り向いた女の子は殺された
・少女が刃物でさされるというもの。そのまま死ぬこともあれば、助かるパターンもある
・マンションが舞台で、電話の度に自分の住む階に上がってくるパターンもある
・主人公が女の子ではなく、轢き逃げをしたタクシーの運転手というもの。その場合人形ではなく、被害女性から電話がかかってくる。被害者女性の名前はメアリー、メリーなど様々で、日本人の場合もある
・メリーさんの人形ではなく、リカちゃん人形とされる場合もある
・女の子の引っ越し先が大阪府岸和田市の噂もあった
・上記のようにこの話自体が呪いの話で、この話がメールで送られてきた人は別の人にメールを送らなければ死ぬ、というものもあった
メリーさんはどんな人形?
・羊のぬいぐるみという説。おそらく童謡の「メリーさんの羊」からきたものと思われる
・リカちゃん人形のような人形。「もしもし、あたしリカよ」という1968年から始まった「リカちゃん電話」にちなんだものからきていると思われる。 そのため「メリーさんの電話」の派生の都市伝説でリカちゃんバージョンもある
・顔が白い人形。神奈川県横浜市の中心部でしばしば目撃された実在の女性、通称「ヨコハマメリー」さんからきたと思われる。歌舞伎役者のように白粉を塗り、フリルのついた純白のドレスをまとっていた。映画や演劇のモチーフともなった
派生の都市伝説・リカちゃん電話
リカちゃん電話には都市伝説が存在する。
1人で留守番をしている女の子がリカちゃん電話にかけると、リカちゃんが「これからお出かけするところなのよ」という内容が流れる。
もう1度電話すると「お出かけ中」、 さらに電話すると「あなたの家の前よ」となり、段々近づいてくる。
そして、最後は「今、あなたの後ろよ……」というのがオチで、メリーさんの電話と似たような内容である。