【日々怪談】2021年7月19日の怖い話~広島行き

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【今日は何の日?】7月19日: カープ黄金時代の幕開けの日

広島行き

 真鍋さんが大学時代に大阪の太子堂に借りていたアパートは2Kの部屋だった。一方の部屋を寝室に、もう一方の部屋を居間として生活していた。
 ある夜、寝室で横になっていると、居間から話し声が聞こえてきた。
 サラリーマンらしき男性二人組の声だ。
「明日から出張なんだよね」
「何処?」
「広島」
「あぁ、良いねぇ」
「牡蠣食うのが楽しみでさぁ。仕事は嫌なんだけど美味い牡蠣が食べたくてねぇ」
 どうやら会社の先輩後輩の間柄らしい。彼らはずっと広島への出張が楽しみだという話を繰り返していた。声が弾んでいる。遠足前日の子供のようだ。ある意味微笑ましい。
 その会話は太陽が昇って明るくなるまで続いた。真鍋さんはそれをまんじりともせずに聞かされ続けた。結果広島にやたら詳しくなってしまったという。

――「広島行き」神沼三平太『恐怖箱 百眼』より

#ヒビカイ #カープ黄金時代の幕開けの日

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