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本日より毎週木曜更新!「超」怖い話・夏の3人が制作の舞台裏を語る怪談エッセイ〈3匹がごにょごにょ〉7

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 梅雨が明け、夏が始まったばかりの感はあるが、今年の「超」怖い話 (庚)が出てしまった以上、松村・深澤・原田の夏はすでに一区切り。はやくも来年の夏を見据えて過ごしていくことになる。本連載では、そんな彼らの執筆の舞台裏――ひいては日常を1年かけて追っていきたいと思う。

 果たして怪談書きというものは普段から怖いことばかりを考えているのか、実際に怖い目にも遭ってしまうものなのか。ネタとの遭遇、取材法は…?

 新刊発売記念の6夜連続配信もひと段落ついたところで、今後は毎週木曜日にリレー形式で配信していきたいと思う。
 それでは週刊連載初回、深澤夜かく語りき――。

 無事梅雨明けしたということで――あれ、東北がまだ梅雨明け発表されていない?
 関東以南はすっかり夏ですね。
 是非「超」怖い話・庚(かのえ)でもって涼んでいただきたいと思います。
 とりわけ今回は「うわあ、これは怖いな」っていう話が沢山入ってますので。

 さっきdiscord(zoomとかslackじゃないの?と言われそうですが僕はゲーマーなのでこのときはdiscordだったんですよ)で、お盆は帰省したいけど今年は無理だな~という話をしていました。
 夏ともなれば山の緑や線香の匂いが懐かしくなるものです。
「そうだよね~」的に盛り上がっていたら、それが意外だったものか「故郷っていったってお前ら『ウサギ美味しい』だと思ってたクチだろ?」的なマウントをとられました。
 百万回言われたような煽りだ。
『ウサギ美味しい』どころか『コブラ釣り鹿の皮』だと思ってたことさえある僕にはそんな平凡な煽りは響かないわけですよ。
 僕の故郷の近くにはテーマパーククラスの廃墟がいくつかあったんですが、本当に無名のテーマパークは地元民でさえ知らなかったりすることもあるので面白いものですね。皮肉なもので、廃墟としては全国区で知られたりするけども、そうなると壊されてしまう。
 吉田悠軌氏達と一緒に某廃墟を見に行ったら(見るだけですよ)、目の前で壊されたこともあります。
 エメラルドグリーンの重機が、灰色の洒落た建築をガンガンぶっ壊してる。
 壊すのは建物の一生から見ればほんの一瞬、でも最後には必ずあることじゃないですか。ある意味画竜点睛といいますか。ファミコン版スウィートホームのエンディングといいますか。
 あれは貴重なものが見られたなぁ――と内心儲けた気持ちもありつつ、できれば軍艦島とか都内のコスプレスタジオみたいに廃墟のまま残して欲しいものです。
 いやまぁ難しいのは百も承知ですが。世の中色んな仕事があるので、廃墟保全コンサルタントとか居ないものですかね。

 ――ものの数行の間に話がぐちゃぐちゃになったな。
 あ、はい、それでなんだっけかな、松ちゃんから何かバトンを渡されてた気がする。
 実を申しますと、松ちゃんから何かバトンを渡されるというのは、普段殆どないことなのですよ。
 こちらから原稿を送って、「もうちょい短くして」「半分にして」と言われる感じで進んでおりまして、僕らはゲラが出るまでは松ちゃんの書いたものは読めない。
 原稿はよくて問題はあとがき。ゲラにはあとがきがなかったりするので、あとがきで何が書かれるかは判らない。
 二人があとがきで何て書いたか知りたい。話を合わせたい。
 だから本が出て真っ先に確認するのが松ちゃんと空っちのあとがきです。
 ずっとそう思ってた僕にとってはとてもありがたい。
 ありがたいから飛びつくわけですが、うーん、「オークの自撮り」。
「オークの自撮り」は謙遜しすぎだと思うのですよね。
 youtube拝見しましたが、サーファーじゃないですか。
 ちょっと先に色々言うのもなんなので、まずはご覧ください。
 https://twitter.com/takeshobokaidan/status/1286280909101047808

右:オークの自撮り/サーファー/松村進吉


 立派なサーファーですよ。
 これは絶対、美波町・田井ノ浜で海亀と共に昼となく夜となく波乗りしてますよ。
 いいじゃないですか。今度色々教えてください。サーフィンやってそうな友達は結構いますけど、実際やってる友達一人もいないんで。
 今週は以上、前回恥ずかしい写真が流出した深澤夜がお届けしました。
 外を歩けなくなるかと思ったのですが、幸い有名じゃないから何にも実害はないので全然大丈夫です。

★次回、8/13(木)お盆の入りは原田空さんです。どうぞお楽しみに!

★絶賛発売中

「超」怖い話 庚(かのえ)

松村進吉 編著
深澤夜、原田空 共著

かつてない混迷の中にある今夏、とんでもなく濃密な怪談が3人の元に集まった。
否、託されたと言うべきか。
漁村の怖ろしき禁忌譚ほか、怪談沼の深みに首までつかりたい愉悦の32話‼



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著者紹介

村進吉(まつむら・しんきち)

1975年、徳島県生まれ。2006年「超-1/2006」に優勝し、デビュー。2009年からは五代目編著者として本シリーズを牽引する。2017年『「超」怖い話 丁』(竹書房)より共著に深澤夜と原田空を迎え、新体制をスタート。近著に『怪談稼業 侵蝕』(KADOKAWA)、主な既著に『「超」怖い話 ベストセレクション 奈落』(竹書房)など。

深澤夜ふかさわ・よる)

1979年、栃木県生まれ。2006年にデビュー。2014年から冬の「超」怖い話〈干支シリーズ〉に参加、2017年『「超」怖い話 丁』より〈十干シリーズ〉の共著も務める。単著に『「超」怖い話 鬼胎』(竹書房)、松村との共著に『恐怖箱 しおづけ手帖』(竹書房)がある。

原田空(はらだ・そら)

1978年、埼玉県生まれ。2006年にデビュー。2017年『「超」怖い話 丁』より〈十干〉シリーズの共著者として参戦。共著既著に『恐怖箱 蟻地獄』(竹書房)、深澤との共著に『恐怖箱 蛇苺』(竹書房)がある。

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