【日々怪談】2021年7月10日の怖い話~福の神
【今日は何の日?】7月10日: 潤滑油の日 (全国石油工業協同組合 制定)
福の神
トルコの方から聞いた話である。
曾祖父の時代、とある男性が夜中に人気のない街角を歩いていると、ラクダに乗った王族を見かけた。きらびやかな姿でトルコ帽を被っている。オスマントルコ時代の、ラクダに跨がったスルターンそのものである。
唖然としていると、スルターンはラクダの背に揺られながら、見知らぬ民家の庭にずかずかと踏みこんでいく。男性はすぐに追いかけて民家の庭を覗き込んだ。
しかし、もうスルターンはいなかった。
それから暫くが過ぎた。
件の民家の人は急に金回りが良くなり、街でも有名な大金持ちになっていた。
その一族にも幸運が続いた。
最終的に油田を掘り当てて経営者となり、大成功したのだという。
実在する石油会社の創業時の話である。
――「福の神」神沼三平太『恐怖箱 百眼』より
#ヒビカイ # 潤滑油の日