「巣食うもの」のあらすじ・感想まとめ – 2chの怖い話
「巣食うもの」とは
「巣食うもの」は2ちゃんねるオカルト版の「死ぬほど洒落にならない話を集めてみない?」に、2009年に投稿された話。10年以上経過した後も語り継がれ、ひとつの都市伝説となっている。
最初の投稿「巣食うもの」からシリーズ化され、現在までに「呪いの部屋」「原発並み」「印」「指輪」「融合体」「呪いのコンパクト」「模倣」といった話がある(投稿はすべて同一人物である)。
なお、タイトルの「巣食うもの」とは投稿者の女友達の身体の中を出入りする「何か」のことを指す。投稿中に出てくる「見える女友達」から言わせると、普通の霊とはまったく違うものであるらしい。
シリーズは動画にもなっている。オカルトや心霊関係が苦手な人は閲覧注意とまで言われているので、軽い気持ちで読むのはおすすめしない。
「巣食うもの」のあらすじ
ある日、投稿者は、地方大学の仲良しグループ6人とともに、ある恐怖スポット化している空き家を訪れることになった。「巣食うもの」は、その空き家で起こった怪現象と、その理由を分析するストーリー。
主な登場人物は投稿者と、霊が見える女友達A、少し空気を読まないところがある女友達Bの3人である。
起:空き家で肝試し
投稿者とその仲間たちは総勢6人で肝試しに出かける。恐怖スポット化している、ある空き家の裏に「何かあるらしい」との噂が立っていた。
オカルト好きのBは乗り気で、霊が見える女友達Aも誘い、空き家へ行くことに。Aは「よした方がいい」と気が進まない様子であったが、Bが行くと聞いて参加することになった。AはBと距離を開けていたが、空気を読まないBはそのことに気づいていない。そんな関係であったので、Aが、「Bが行くなら」と参加したのは、投稿者にとって意外だったようだ。
空き家へはワゴン車に乗って向かうことになった。車中、Bが眠いと言うので、Aは「寝てなよ。着いたら起こしたげる」と優しく声をかける。
しばらくして空き家に到着した一行。ところが、オカルト好きのBは、起こしても起きないのだ。置いていくと後で怒るだろうと、AがBを担ぎ起こし、Cが背負って行くことに。AはBの手を掴んでいて、先頭に立って歩いて行った。
そして肝試しがスタートする。普通に不気味な空き家である。ただ、車から降りてもBが起きる気配はない。
承:古井戸の中から向かって来るモノ
空き家の裏手に回ると、古井戸がぽつんと存在した。近寄って乾いた井戸の中を覗いてみると、和式の人形の家のようなものが見えたという。
その瞬間、Aが「下がって!下がって!こっちへ来て!」と叫んだ。
直後、井戸の中から、「カシャ…カシャ…」と金属のような音がする。その音が段々と大きくなり、こちらへ向かってきたのだ。しかもどんどん音が増えてくる…。このときもまだ、Bは眠ったままである。AはBの手を握ったまま、周囲の仲間を必死に引っ張り寄せていた。
気がついたら、目の前に「煙なのか人影なのか分からない何か」がいた。形は人影なのか煙なのか、色は白かグレーか透明か、それすらも分からない何か…。
謎の金属音はその辺りから発せられていて、既に耳いっぱいに響いてくるまでとなった。人影のようなものが金属音を発しているのではなく、「金属音を発しているモノと人影が戦っている」ような光景であったという。
Aの「逃げよう」の声で、一同は車まで走り戻って逃げ出した。結局帰り着くまで、Bが目を覚ますことはなかった。
転:Bに巣食うもの
後日、投稿者がAに自分たちを助けてくれた人影について訪ねると、それはBの身体の中にいる「何か(巣食うもの)」なのだそうだ。それはBの身体から離れるとまた戻ってくる、と。どうやらその「何か」のせいで、ほかの霊を全く寄せ付けないのだとか。
Aいわく、Bが「巣食うもの」のいる世界とつながっていて入り口になっているか、もしくはBが「巣食うもの」の棲む場所になっているか、のどちらかとのこと。そこはAもよくわかないらしい。わかっているのは、あのとき「巣食うもの」はBの中から出てきて、またBの中に戻ったということ。
どうやら、「巣食うもの」が守るのはBだけらしい。Bを守ったというより、「巣食うもの」は、自分の棲み家であるBが壊されないように出てきただけだという。
あの日、空き家での肝試しに乗り気でなかったAがついて来たのは、本当に危ない場所に行くと感じ何かあったときはBの中に居る「巣食うもの」に守ってもらうしかない、という考えがあったからだそうだ。
実際、「巣食うもの」に守られたわけだが、「巣食うもの」が守るのはBだけなので、あのとき少しでもBから離れていたら、井戸の中から出てきたモノに取り憑かれて人生が終わっていた、とAは話す。
しかし、B本人は、自分の身体が「何か」の巣にされているとはまったく感じていないらしい。AがBを避けていたのは、Bに「巣食うもの」が気味悪く、近寄り難かったからとのこと。Aいわく、除霊などができるレベルではないので放っておくしかないとのこと。
結:後日談
肝試し当日に「巣食うもの」の宿主であるBがずっと寝ていたのは、「巣食うもの」が井戸の強力な霊と戦うために全力で眠らせたからではないか、とAは分析する。
その後、「巣食うもの」の宿主であるBは結婚・出産したというが、Aが新居を訪ねたところ、「巣食うもの」はさらに成長していた、と話す。ただ、B本人は、「巣食うもの」の存在にいまだに気づいていないようだ…。そもそも、巣食われている本人には見えないようになっているようだ。
さらには、Bの新居は曰くつきの事故物件であった。いわゆる、「悪いものの溜まり場である呪いの部屋」であったが、「巣食うもの」のおかげで平穏に暮らせているようだ…。
なお、「巣食うもの」の宿木になっている人間はほぼ存在しないため、むやみやたらな肝試しは避けるとともに、「呪いの部屋」に住んでいる方はすぐ引っ越したほうが身のためである…。
カテゴリ――2chの怖い話
巣食うものを読んだ人の感想
私はこの話をあまり怖いとは感じなかった。なぜなら、人間の中に守護霊のようなものが取り憑いており、それが人間を悪運や危険から護ってくれているのだという思想は古来からあるし、それが事実であったとしても、怖いというより頼もしいからである。 人間は弱い。力もなく、容易く死んでしまう。その事実を鑑みれば、保身的にならざるをえず、前に進めない。一方、この話のBのような、危険を冒して知らない世界を探求しようとする、鈍感で怖いもの知らずな性質を有した人間のおかげで、人類は進歩してきた。その勇敢さを讃え、自らの臆病な心を鼓舞し、不確かな未来へと進む勇気を得んがために、「体の中に巣食う得体の知れない何かが護ってくれるに違いない」といった思想が、今日まで受け継がれ、愛されてきたのだと思う。
はじめ、AがBと距離を置いているのはBのことが嫌いだからで、寝ているBを無理矢理に連れて行ったのも、その場所が非常に危険な場所で、Bに憑りつかせるためかと予想していた。 それが「巣食うもの」だと。 ただそれだとAがBのことを相当嫌っていないとおかしく、違和感があったのだが、その後の展開からすべてが氷解。 まさかBの中は元から巣食われていて、Aがそれを頼ろうとしていたとは。 もしかしたら「巣食うもの」は「救うもの」でもあるのかもしれない。
投稿者と友人Aさん、友人Bさんが井戸で人間の影のような者と巣食うものが戦っていると冷静に観察し、恐怖で逃げ出すことなく客観的に状況を把握していることに驚嘆する。井戸の中に人形が住んでいるような不気味な家を目撃し、金属音を耳にしながらもよく一目散に逃げ出さなかったなと思います。この話を見ると「巣食うもの」自体は恐ろしい存在ではなく、Bを守ろうとしています。車中からずっと目を覚まさなかったのは不気味だが、戦うためにBの内部から飛び出した姿は守護霊に近い安心感すら感じます。
身体の中に住み着くタイプの霊がいることに驚いた。でも他の霊を惹き付けないように守ってくれているのであれば、守護霊のような存在なのであろうか。井戸の中に和式の人形の家が見えたというけど、いまいちイメージができない。でも洋より和の方がより怖い気がするのはなせだろう。その身体の中に住み着くタイプの霊はその人の身体を使って行動するということなのか、それともただ大人しくしているだけなのか全くわからないけど無気味なストーリーだなと思った。
最後の最後まで「巣食うもの」の正体が分からずモヤモヤが残るが、それもまた色々な想像を掻き立てられて不気味だ。 主要な登場人物である主人公とA子とB子の三人のうちで、霊感がないのが主人公だけだという事実も、道中で自分だけストーリーに置いていかれてしまう感がありゾッとする。 B子が眠っている間にB子の中にいる何者かが活動しているようだが、私は恐らく「巣食うもの」は彼女の守護霊のような存在なのではないかと考えるのだ。 そのように結論付けをした方が優しい物語になるし、何より恐怖が少しだけ薄まるような気がするのである。
ご先祖様の守護霊的なものが守ってくれたんだ、よかったよかったと思いきや、自分の寄生先だから守っただけで多分良いものではない。しかもずっと取り憑くいていて成長している…というのがじわじわ恐ろしかったです。Bさんはどこでアレを拾ってきたのでしょうか。そして「救う」のではなく、このまま巣食われ続けたら、一体どうなってしまうのでしょうか?これからも巣食われていることに気付かなければ、平和に暮らしていけるような気もしますが、周りの人が何かしらの影響を受けて不幸になってしまうのではないかと心配です。ただ、井戸の中のものに、Bさんから抜け出てきたアレが対峙しているのを想像して、「なんかスタンドバトルみたいでカッコイイかも…」と思ってしまいました。
ただの怖い話では終わらず、伏線があり、ラストのあとに本当の話があるような、そんな怖い話だった。 Aが助けてくれるんだろうな、までは話が見えていて、そこからは怖いものを見てみんなで逃げる展開なんだろうなと思っていたら、それだけでは終わらない。なぜBを避けていたのか。それも伏線だったし、その理由が今回の話の肝だった。 井戸から出てきたものがなにか結局どんな形をしていたのか分からず、音だけで表現されていたことに更に恐怖を感じた。
「巣食うもの」は霊的な存在でありながら、宿主であるBのことを他の悪霊から守っていたという部分はなかなか斬新な展開だと思った。普通だったら最後に宿主となっているBの精神がおかしくなったり、周りの人たちに何かしらの害があったりするのがよくある展開だが、そういったこともなく幸せな家庭をつくっている部分もなかなか興味深い。しかし「巣食うもの」は本当にこのまま何もせずにいてくれるのか、もしかしたら最終的にはBの命は奪われるのではないかという嫌な余韻が残る作品。
「巣食うもの」の宿主に知らず知らずのうちになってしまっている「女友達B」の事を考えると、何とも言えないせつなさ、無情さ、そういった感情が自分の中に溢れてきました。そして、「何故Bはそんな恐ろしい者たちの宿主なんかになってしまったのか?」、そんな疑問が湧いてきました。ただ、最後まで読んでもその答えを導き出せるようなヒントは得られなかったので、非常にモヤモヤとした気分になっています。Bの新居が「曰くつきの事故物件」だった、という点も非常に気になりました。そういった場所を本能的に選んでしまっているとしたら、それも「巣食うもの」に取りつかれた人間の宿命なのかもしれませんね。
結局、「巣食うもの」の正体がよく分からないことが不思議で少しだけ怖さを感じる話だ。友人と恐怖スポットに出かけるパターンはよくあるストーリー展開だが、恐怖スポットの怖さではなく、「巣食うもの」が何なのかに興味を持ってしまう。良いものなのか悪いものなのかも分からないが、この話だけ読むとBは「巣食うもの」に守られているように見え、不思議な印象もある。「巣食うもの」が霊とどのように戦っているのかも気になった。正体が知りたくなる話だ。
怖いもの見たさで肝試しに行って怖い目に合うという話は古今東西よくある話だが、肝試しで本当の霊が出てきてしかもその霊がまた違う「何か」と戦って、霊を追い払うみたいな話は珍しいと思う。ただ、Bさんに取り憑いていて助けてくれた「何か」というのは本当にBさんにとって良きものなのだろうか?Bさん自体はその存在に気づいていないようなので今はいいのだろうが、もしその存在に気づいたときどういう反応を示すのか他人のことながら気になる。
「巣食うもの」を読んで、まず、「巣食うもの」という得体の知れないものを、オブラートに包み描いているので、敵か味方なのかも分からず、ストーリーが進んでいくため、それがまた恐怖心を増幅させているのだと思った。怖いもの見たさ、知りたさの肝試しに出てくる幽霊自体が怖いのに、その幽霊を退治できるほどの恐ろしいものが身体に取り憑いているというトリッキーな発想、展開が面白いのだと思った。文章もとても読みやすくあっという間に読み切ってしまった。
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