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【年末企画】2020年怪談界を振り返る~有名作家続々登場!2020年最恐の怪談本はこれだ⁉-2chの怖い話

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 2020年ももう終わります! ほんとに終わりますよ! ということで今回は年末企画として、怪談関係の方々に「『今年を振り返って』をテーマに何か思うことありますか?」と質問してみました! 

このコロナ禍の中でも「新しい挑戦ができた。(川奈まり子さん)」「リモート配信と怪談の親和性に気付いた。(吉田悠軌さん)」など前向きな回答が多く、とても爽やかな記事になってますので、みなさん良いお年を!

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■怪談関係者、2020年を振り返る

 では早速、今年も大活躍だった怪談界の面々、川奈まり子さん、黒木あるじさん、住倉カオス、ぁみさん、吉田悠軌さん、田中俊行さんの言葉を見ていこう。

・川奈まり子さん(怪談作家)

「たくさんのイベントが中止になったが、オンラインイベントの出演やHimalayaの配信ラジオのMCなど、これまで経験がなかったことに挑戦できて良かった。Web上での怪談取材の募集を積極的にかけていなかったのに、『私の怪談を取材してください』とたくさんの提供者の方が名乗りをあげてきたことに驚いた。恐らくはこれもステイホーム期間に自身の体験に向き合う時間が増えたことや、人とのコミュニケーションを普段より欲したことが要因なのだろうと思うと、コロナ禍がもたらした影響の一つだと思う」

・黒木あるじさん(怪談作家)

「怪談本のあとがきに『取材ができなくて大変だった』という旨のことがよく書かれていた一年だったように思う。オンライン取材という手法が使われたり、過去に取材した怪談の蔵出しをしたりと作家らも工夫をしていたようだ。これまでの実話怪談は都市部主体の傾向があったが、今年は作家たちの地元の話がピックアップされ、幅が広くなった。いずれにせよ、現状の苦しさが新しい形を芽生えさせるきっかけになったのではと思っている」

・住倉カオスさん(MC・イベントオーガナイザー)

「怪談語りという文化の裾野が広がった一年だったと思う。鬱屈としたステイホームの中、自己表現の手段として怪談を語って配信した人も多かったのではないかと思う。今年で3回目となった怪談語りのワザを競う『怪談最恐戦』にもたくさんの一般公募があった。絶対数が増えた分、怪談語りのプロとアマの境目が曖昧になり、表現の仕方も画一化されていくことは避けられないとして、そんな中でも色々なやり方が模索されていき、各々の特色が生まれていく。コロナによって破壊された環境に、新たな創造がなされ、大きなうねりが生じている様は興味深い」

・ぁみさん(怪談家)

「以前から動画配信をしていたので、仲間内からアドバイスを請われることが多かった。どういうやり方がウケるのかなど、皆悩んでいたようだ。配信には配信の良さがあるが、個人的には会場でお客さんと一緒に作る怪談会も大好きなので、場を恋しく思っていた。怪談会に行くためにチケットを買う、時間を作る、移動するという一連の動きも含めての体験はかけがえのないものだと、つくづく感じた」

・吉田悠軌さん(オカルト研究家)

「3月に、それ以降のほとんどのイベントが中止となり、すぐに『怪談怪』という配信イベントを皆で立ち上げた。収支が徐々に好調となっていったこともあり、同イベントは9回を数えている。怪談に限らずどこよりも早くトークの配信ライブイベントを打ち出せたと自負している。怪談は音楽イベントほど画質や音質を高めなくても、肝要な部分が伝わりやすく、配信と怪談の親和性の高さに気付かされた。コロナ騒ぎが落ち着いてからも、『配信イベント』という形態は適宜続いていくだろうことを思うと、このフォーマットを見つけることができたのも怪我の功名だったといえる」

・田中俊行さん(オカルト・コレクター)

「コロナ禍になってからの方が忙しかった……配信で怪談なんか無理やろうと思ってたら、意外とイケた。配信と怪談は相性ええね。関西は割と有人イベントやってた。関西やからかなあ……。東京の配信イベントはほんまはリモート参加でええのに、ついつい東京の会場まで行ってた。関西と大阪を何回も往復したから、多分5回くらいはコロナにかかってたんちゃうかな? あと、3、4回は怪談の大会に出た気がする……。そんな一年やった」

さて、ここからは私、玉川がツイッターで見つけた熱心な怪談ファン2氏による振り返りをどうぞ。

・祝月さん(@SAITAMA0609

「この一年間で有料無料含めて、70番組以上は怪談配信を視聴した。有料チケットが安く、アーカイブが一定期間残る怪談配信は、仕事柄なかなかイベントに足を伸ばせない自分にはとても助かる。出演者たちの掛け合いからさまざまな怪談が飛び出す配信は、その場にいなくてもライブ感があって楽しい。これからも配信は重宝する」

★祝月さんが選んだ2020年怪談配信ベスト5

1位「いたこ祭り」(出演・いたこ28号、煙鳥ほか)
他人の怪談を語って順位を競うという斬新さが良かった。聞き慣れた話でも印象が変わって楽しかった。終始和やかな空気だったけど語りは全力。皆さんのいたこ28号さんへの愛が感じられるいい企画でした。

2位「怪談祀羅2020」(弘前乃怪主催)
現地に纏わる話を現地の方が語る様子を全国どこでも配信で見られるのは凄く贅沢。津軽最後のイタコ・木村妙海さんの話は見ている景色なんかが別世界で衝撃でした。本職のイタコさんの話を聴けたのは唯一無二。

3位「怪談家ぁみの怪談禁止」(出演・ぁみ、響洋平ほか)
怪談でしかコミュニケーションがとれない男達の更生回かと思いきやド頭から怪談連発で。あれほど笑った怪談配信は他にないです。

4位「南条『一人百物語』」(出演・南条)
一人で百物語を語るのも凄いけどそもそも100本以上実話怪談を集めているのも凄い。毎週の配信では出してない初出しもあり、短い話で時短なんてこともせずラストスパートとばかりにどんどん語りに力が入っていく姿は圧巻でした。

5位「異職怪談」vol.2 朗読劇&怪談語り(脚本・しのはら史絵ほか)
怪談を朗読劇で見るという他にはない経験でしたが迫力があって楽しかったです。他の方々の怪談も朗読劇として見てみたいと思える良さがありました。

・ん0Bさん(@n0bnzb

※ん0Bさんは怪奇幻想文学や実話怪談本をとにかく買いまくり、読了後Twitterで数ツイートにわたる感想をアップすることを何年もやってらっしゃる奇特な方です。

★ん0Bが選ぶ、2020年怪談本この10冊を読め!

・久田樹生/THAK『47都道府県 本当にあった怖い話

各都道府県につきひとつの怪異を語った本。児童書ですが大人向け以上のクオリティです。

・神沼三平太『実話怪談 毒気草

濃怖深怖重怖のシリーズ最新刊です。

・つくね乱蔵 『つくね乱蔵実話怪談傑作選 厭ノ蔵

このアンケの提出日までに今年の著者単著が未発売なのが惜しまれます。著者のベスト版本です。

・黒木あるじ『黒木魔奇録 狐憑き

本書収録の「わんのいれもの」は著者の代表作に入れても良いほどの傑作だと思いました。

・小原猛『琉球怪談コレクション いまでもグスクで踊っている

沖縄の版元から出た琉球怪談の代名詞たる著者による本土の怪談とは違った味の怪談集です。

・高田公太/高野真『東北巡霊 怪の細道

なによりも高野真という「才」が世に出たことを祝します。

・小田イ輔『怪談奇聞 噛ミ狂イ

本書収録の「溜まり場で夕方」は単体で僕個人の年間ベスト1だったりします。

・丸山政也『奇譚百物語 鳥葬

僕が毎年楽しみにしている百物語のシリーズの最新作。コロナ禍の中でも海外怪談は健在です。

・戸神重明『怪談標本箱 毒ノ華

コロナ禍の中にて著者が「厭」方向に大きく進化した作品集です。

・朱雀門出『第五脳釘怪談

「奇妙な味の実話怪談」と言う感じでしょうか。「3」と「4」の商業出版化を強く望みます。

以上、年末企画でした!
みなさん、良いお年を!

書いた人

玉川哲也(たまかわ・てつや)

オカルトをこよなく愛でる新進気鋭のフリーライター

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