【日々怪談】2021年7月31日の怖い話~扉の向こう

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【今日は何の日?】7月31日: ビーチの日

扉の向こう

 ある夜、風呂から上がろうとした中村さんは、浴室のドアを開いた。
 そこにあったのは、真っ青な空と海に真っ白な砂浜であった。強い日射しが容赦なくじりじり照りつけている。
 渡っていく爽やかな海風、耳に届く波音。
 南国の浜辺だ。人の姿はまるで見えない。
 前を隠すことも忘れて呆然と見入っていると、半透明のアクリル製のドアをトントンと叩く音がした。
「子供も入れてくれる?」
 奥さんの声が何処からか聞こえた。開いているドアの向こう側に人影が見えた。
 慌ててノブを引っ張ってドアを閉じる。
 改めてドアを開くと、おむつ姿の息子を抱えた奥さんが立っていた。

――「 扉の向こう 」神沼三平太『恐怖箱 百聞』より

#ヒビカイ # ビーチの日

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