あらすじ
「事故物件概説」そして事故”人間”へ 住倉カオス
事故物件とはどんなものか。そして事故物件によって狂わされた事故人間の異様さを追体験する現場ルポ
孤独死の現場は事故物件 村田らむ
人死にがあった直後の部屋―特殊清掃の取材を通じてみた事故物件のはじまりを村田らむが描く!
事故物件の光と闇 太陽の祝祭 大島てる
公示サイト運営者自身が綴る「大島てる」のすべてと恐ろしいトラブル。さらに事故物件ワースト3や業界の黒いテクニックも大暴露!
実録・事故物件住みます芸人 北野誠
映画化し今やホラー界を飛び越えて活躍する事故物件住みます芸人・松原タニシの初期の事故物件生活を、企画者・北野誠が綴る!
実話怪談「上の部屋」 川奈まり子
目黒川沿いのマンションに越してきた女性は、元カレの異様な付きまといに悩まされていたが…。相次ぐ怪現象を経て、まさかの真実が発覚する!
実話怪談「遺穢」 黒木あるじ
ある男性から、黒木あるじのもとに寄せられた回顧録。紐解いていくと、おぞましすぎる因縁に突き当たる! 塁が及ぶ現在進行形の恐怖
実話怪談「壁」 営業のK
住み始めたマンションで、隣から子どもの声が聞こえるも―隣人は独身で…。管理会社の担当者と声の原因を検証すると、戦慄の正体が!
実話怪談「そういう土地」 加藤一
新店舗を構えた寿司屋で原因不明の不幸や怪事が…。相談を受けた拝み屋の口から、土地に纏わる想像を絶する過去が語られ―。戦慄の事故”不動産”奇譚!
試し読み「実録・事故物件住みます芸人」北野誠 一部抜粋
「おまえら行くな。」の番組に「松原タニシのパラノーマル日記」というコーナーがあった。
その企画が立ち上がるキッカケになったのは、大阪で開催された平成二十四年の「おまえら行くな。」のイベントにタニシくんが出たことからだ。
そのイベントで〈若手芸人が語る怪談〉コーナーをやり、盛り上がった話のひとつが、若手芸人が住んでいた、とあるワンルームマンションの話だった。
そこはマンションというけれど、部屋がずらりと並んでいる廊下には、青い線と黄色の線と緑の線が書かれている。「こちらに曲がったら」という表示があるのだけど、薄く消してある。
そして並んでいる各部屋の玄関扉には、外から内部を覗く小窓がある。しかしその窓には鉄格子が入っている――推測するに、たぶん精神病院だったんだろうと思う。
けれど、そのマンションは家賃が格安でしかも交通の便がいい。そんなわけで若手芸人がこのマンションに住むのだけれど、しばらくしたら養成所に来なくなるということが何人も続いた。
あまりに養成所に来なくなるから、先輩たちが「どないしたんやろか?」と部屋を見に行って、ドアを叩いても返事がない。鍵がかかっていなかったので勝手に開けて入ると、真っ暗の部屋にろうそくをいっぱい灯した中、流しの前でキャベツだか大根だかを呆然自失の状態で刻んでいるのを発見した。その子はその後、芸人を辞めて田舎に帰ってしまったらしい。
その話を聞いたところあまりに興味が湧いたので、タニシくんをそこに住まわせようということで、企画が動くことになった。しかし、件のマンションは結構空いていたのに、契約直前になぜか一方的に断られてしまった。
企画は動き出しているし他の物件を探せということになり、僕らがネットで調べて、女性が殺害されたというマンションを見つけた(ただし、当の事件があった部屋は開かずの間として貸してもらえず、違う階になってしまった。そこのところはザンネンですが――)。
とにかく大阪D町のワンルームの一室から、松原タニシが事故物件に住む企画コーナー「パラノーマル日記」生活が始まった。
大阪D町ワンルームでの怪異
「パラノーマル日記」生活を始めるにあたって、タニシくんにはハンディカメラで部屋の中を撮影してもらうことと、部屋に固定の赤外線カメラを設置して定点撮影をさせてもらうことになった。
タニシくん本人も、いろいろと工夫と努力を重ねて、霊現象を撮るべくがんばらねばならない――なぜなら、その撮影の出来高でギャラが払われるのだ。
強烈な心霊現象が撮れれば撮れるほどギャラがアップしていくとし、まずは半年間やろうということになった。
そこでの怪異の経緯を、順を追って記してみよう。
平成二十四年冬 初日夜。
家具もない、どちらかといえば殺伐としたワンルームの部屋で、タニシくんは生活を始めた。初日の夜、さっそく異変が起こる。
知り合いからの電話に出る直前のこと、タニシくんの目の前をオーブらしき光体が飛ぶのを定点カメラがとらえていた。
何やら不穏なものが充ちているという意味では、このマンション自体がすでに禍々しいものへと変わってしまっているのかもしれない。
滞在四十七日目。
「おまえら行くな。」のアイドル人形たち、チャッキー、みゆき、ケイティーをタニシくんの部屋に連れてくる。
「人形と一緒に見る夢はどんなだろう」ということで、人形を並べて一緒に寝るというミッションを敢行、タニシくんは午前四時に就寝。
タニシくんは熟睡。結局ミッションは大失敗に終わる。
滞在四十八日目。
タニシくんが、同じマンションの住人と知り合いになり、夜、一緒にあちこちを探索することになった。
誰も利用しない鏡張りの駐輪場に行き、その後「開かずの階」への階段を上がろうとした時、同行の彼が「音がするので行きたくない」と言い始めた。
また「気分が悪い」とも言うので探索は中止することに。
その後、住人から、
「俺の住んでいる隣の部屋の人が、真夜中にやたら大声で叫んだりして大騒ぎするんだけど、注意した方がいいかな?」
と相談を受ける。その「隣の部屋」は実は殺人事件が起きた部屋で、不動産屋が誰も入居させない「空き部屋」であることをタニシくんは知っていた。
そのことを彼に告げると、せっかく仲良くなった住人とは気まずい関係に――。
やがて、その住人はすぐに引っ越してしまった。
この頃、赤外線カメラはタニシくんが不在でも、部屋の様子を延々と撮り続けていたが、バチンバチンという家鳴りがよく入るようになっていた。
特に、タニシくん不在の時に頻繁に起こるようになる。彼が在宅の時にはそれほどでもないのに、バイトに出ている夜中によく起こるのだ。
滞在三か月あたり。
モニターで日々の映像をチェックするうちに、部屋にオーブが増えてきているように感じると、タニシくんが言い出す。
――続きは書籍にて!
朗読動画(怪読録Vol.86)
【竹書房怪談文庫×怪談社】でお送りする怪談語り動画です。毎月の各新刊から選んだ怖い話を人気怪談師が朗読します。
今回の語り手は 怪談社の 糸柳寿昭 さん!
【怪読録Vol.86】肝試しに訪れた廃屋で起きた恐怖!!-北野誠、大島てる、村田らむ、住倉カオスほか『実録怪談 最恐事故物件』より【怖い話朗読】
商品情報
著者紹介(抜粋)
住倉カオス(すみくら・かおす)
怪談最恐戦のMC。作家、フォトグラファー、怪談イベントオーガナイザー。
出版社のカメラマンとして多くの心霊取材に携わり、投稿型怪談ウェブサイト「百万人の恐い話」、アマゾンプライムのChannel恐怖にて「住倉カオスの怪談★語ルシス」を主宰。一方、日本唯一の“猥談家”の一面もある。
著書に『百万人の恐い話』『百万人の恐い話 呪霊物件』、共著に『実話怪談 樹海村』など。
村田らむ(むらた・らむ)
愛知県名古屋市生まれ。ライター、漫画家、イラストレーター、カメラマンとして活躍。
廃墟、ゴミ屋敷、新興宗教、樹海などをテーマにした体験&潜入取材を得意とし、ホームレス取材においては20年以上かけている。
著書に『ホームレス大博覧会』『ホームレス大図鑑』『禁断の現場に行ってきた!!』『ゴミ屋敷奮闘記』『樹海考』、最新刊に『ホームレス消滅』、共著に『危険地帯潜入調査報告書』『読むゾゾゾ』、写真集『廃村 昭和の残響』など多数。
大島てる(おおしま・てる)
平成17年9月に事故物件公示サイト「大島てる」を開設。当初は東京23区のみを対象としていたが、その後徐々に対象エリアを拡大していき、現在では日本全国のみならず外国の事故物件をも対象としている。
関連書籍に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』『事故物件サイト・大島てるの絶対に借りてはいけない物件』など。
「事故物件ナイト」など、事故物件イベントを札幌・東京・名古屋・大阪で不定期開催中。
事故物件サイトには英語版も存在。その活動は米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』でも紹介された。
北野誠(きたの・まこと)
松竹芸能所属。ガチンコホラードキュメント番組「北野誠のおまえら行くな。」「北野誠のおまえら行くな。ボクらは心霊探偵団」の団長。
豊富な心霊体験や心霊スポット取材を余すところなく語る恐怖の水先案内人。主な番組はCBCラジオの昼1時から4時までの「北野誠のズバリ」月曜日から金曜日。また土曜日朝9時からの「北野誠のズバリサタデー」。水曜日夜10時25分からのラジオNIKKEI「北野誠のとことん投資やりまっせ」などに出演中。
川奈まり子(かわな・まりこ)
緻密な取材の怪談に定評がある。「一〇八怪談」シリーズや『迷家奇譚』ほか共著も多数。「実話奇譚」シリーズの最新刊『蠱惑』が発売中。
黒木あるじ(くろき・あるじ)
多くの実話怪談集を世に送り出す。「黒木魔奇録」「怪談売買録」など単著シリーズや監修も務める共著「怪談四十九夜」シリーズなど精力的に執筆。
営業のK(えいぎょうのけー)
石川県金沢市出身。職業は会社員(営業職)。勤務先のブログに実話怪談を執筆したことが話題となりデビュー。六月に最新刊『闇塗怪談 朽チナイ恐怖』を発売予定。
加藤 一(かとう・はじめ)
人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』四代目編著者。『恐怖箱』シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中。最新作『「忌」怖い話 大祥忌』が発売中。
芳春(ほうしゅん)
湘南在住の柴犬愛好家。末期のチョコレート中毒。金魚鑑賞と住宅展示場で 建材を眺めるのが趣味。前向きに生きるための糧になるような、不思議な実話を集めている。
青葉入鹿(あおば・いるか)
静岡県出身。行政書士として働く傍ら出会った人に身近な怪異を聞いてまわる。好物は民間伝承や土着信仰に潜んでいる縁起の悪い話。
天堂朱雀(てんどう・すざく)
徳島県生まれ。
雨森れに(あまもり・れに)
信濃出身、東京在住。奇祭の残る土地で骨董屋を営む家にて育 つ。令和二年七月から物語を書き始める。
高倉 樹(たかくら・いつき)
執筆・書籍デザインなど、本にまつわるよろず承りつつ、大阪天王寺にて日替わり店主の古本屋に参加中。好物はもさもさする食べ物。
影絵草子(かげえぞうし)
関東在住、幼少期より怪談を収集し、数にして千以上。主に人間 の狂気や情念が絡んだ怪談を好む。共著近刊に『鬼怪談 現代実話異録』。
雪鳴月彦(せつなり・つきひこ)
福島県在住WEB作家。家族全員が過去に不可思議な経験をしているおかしな家で育つ。共著に『街角怪談』『百物語 サカサノロイ』等。
大谷雪菜(おおたに・ゆきな)
福島県生。第三回『幽』怪談実話コンテスト優秀賞入選。WEBを中心にライターとして活動中。共著に『世にも怖い実話怪談』等
あんのくるみ(あんのくるみ)
作家。絵本から怪談まで作品は幅広い。デビュー作『つまさきもじもじ』(みらいパブリッシング)は韓国でも翻訳されている。無類の猫好き。
中野前後(なかの・ぜんご)
関東の田舎で、農業をしながら怪奇譚を集めています。エナジードリンクと怪談があれば、もう少し長生きできそうです。
森内ゆい(もりうち・ゆい)
息子と犬と神戸で暮らすWEBライター兼アマ作家。著作に現代ローファンタジー『赤い月はもう見ない』他、ホラーなど。犬好き。
望月 環(もちづき・たまき)
昨年の自粛期間に何故だか怪談にどっぷりハマり、毎日怪談生活を送ってきた。あれから一年、まさか自分が怪談を書くことになろうとは……。
雨水秀水(うすい・しゅうすい)
平成生まれ。青森県出身。雪国の出身ですが、未だ、雪女に出会ったことはありません。
安田鏡児(やすだ・きょうじ)
関西で怪談を集めては、手帳に書き留める日々。好きな怪談は、神様や妖怪の関与が窺えるもの。語るのは下手なので、筆を執りました。
大道寺アウンザヤ(だいどうじ・あうんざや)
東京在住。十代でプロボクサーを目指すも断念。福島で農家を目指すも挫折。バックパッカーとなるもコロナ禍で絶望。結果、怪談師となる。
アスカ(あすか)
趣味の散策、写真、庭いじりに励んでおります。
丸太町小川(まるたまち・おがわ)
京都と九州某所を拠点にフィールド・レコーディングや音響構成に取り組む傍ら、ヴァナキュラーな怪異を求めて身近の奇談・怪談を収集中。
月の砂漠(つきのさばく)
東京都在住の放送作家。趣味は落語鑑賞と寺社仏閣巡り。血圧高めの恐妻家。