好評発売中、夏の「超」怖い話 庚(かのえ)の舞台裏に迫る。作者3名による怪談エッセイ連載〈3匹がごにょごにょ〉6
さて。発売記念の6夜連続配信、今夜がラストである。
〆はもちろんこの男――徳島の星、「未来」を語る五代目編著者、松村進吉。
松村、深澤、原田は仲良し3人組のように思われるが、「超」怖い話の制作にあたってはまるで違う。
松村、深澤、原田の横並びではなく、松村進吉という編著者の下に、最強の共著者として深澤、原田の二人がいる。いわば三角形の構図だ。
「超」怖い話 丁(ひのと)から始まるこの体制は、トモダチごっこにしないという固い約束の元に始まったが、4年を経てもそれは忠実に、さらに厳しく守られている。
松村のジャッジは厳しい。
ネタの取捨選択。リライトの指示。
文章の細部に至るまでその目は行き届いている。
そうして今年も「超」怖い話 庚(かのえ)が世に送り出された。
それでは、五代目編著者・松村進吉に語っていただく。
どうぞ――。
***
本シリーズのナンバリングに、十干を提案したのは私である。
『「超」怖い話』は1991年に勁文社から刊行された第一巻、いわゆる「無印」からスタートして、「続」「新」「新2」~「新8」という具合に続いてきた。その後、「Q」「彼岸都市」を経てから版元を竹書房に移し、同時に「ギリシア文字」シリーズへと移行。装いも新たに年二回のペースで、「A(アー)」~「Ω(オメガ)」までが出版された。
尚、ご存じの方もあるかとは思うが、『「超」怖い話Ο(オミクロン)』というのは存在せず、欠番になっている。これは『「超」怖い話クラシック』シリーズの『「超」怖い話0(ゼロ)』との混同を避けるため、という至って実務的な理由による――という口実にはなっているのだが、本当はマジで書いてはいけない話が載ってたせいでISBNごと削除された――とかではありません。いやホントに。ハハッ。
ただもしメルカリなどで『「超」怖い話Ο(オミクロン)』を見かけることがあれば、SNS等には投稿せず、至急、竹書房までご連絡ください。すぐに専門の部隊が派遣され■■■■、■■■■■■■■■■。■■■■■■■、■■■■■■。
――ともかく2013年の夏、拙著「Ω」にて、ギリシア文字は使い果たされてしまった。今更数字を配する訳にもゆかず、さて次は何をもってナンバリングを施すかと頭を抱えることになった。実のところこれは、かねてからの懸案であった。
懸案ではあったのだが、「困ったなぁ」「どうしましょうかねぇ」「う~ん……」という感じで先送りにされ、実際にその時が来るまで、具体案は決まっていなかったのである。
何故というに、みんな忙しかったからだ。
なるほど忙しかったのなら、仕方がないのである。
勿論、いくら仕方がないとは言え、仕方がない仕方がないとばかり呟いていても『「超」怖い話 仕方がない』にする訳にはゆかない。どうにかしなければいけない。悩んでいても日は過ぎる。過ぎる日を数えるうち、その眼前のカレンダーに書かれた「干支」、及び「十干」にふと気づいて「あ、これかな……?」と飛びついてしまったのも、無理はない話だろう。
その十干も、残すところ三つとなった。
本当にあっという間だ。ましてや我々夏班は、冬班より二年も早く終わってしまう。そろそろ次を考えなければならない。
これからのこと、〈未来のこと〉を考えなければ――。
――という訳で、もし何か良さそうなナンバリング案を思いつかれた方がいれば、ご一報頂きたい次第である。
よもや読者諸氏に丸投げする気かと呆れられた方もあるかも知れないが、実は「彼岸都市」だって読者の方からご提案頂いたタイトルなのだから、これはある意味で伝統とも言える。どうぞ安心してご連絡ください。もしそれが「これは」というものであった場合、すぐに専門の部隊が派遣され、■■■■■■■■。
※
なんとなく話のキリがいいので、この話は以上である。
今回分の文字数が余ったので、とりあえず、夜と空の話をしようと思う。
私も早十数年この怪談界隈に身を置いている関係上、多くの怪談関係者と顔を合わせて来たが、夜と空はその中でもちょっと雰囲気が違うなぁと前々から感じている。
これは空が書いていたような内面的な姿勢の話だけでなしに、ガワからしてちょっと違うのである。
どちらも男前なのである。
贔屓目なしに見て、なんかイラッとするぐらいシュッとしてるのである。
文章で言われてもピンと来ない、あるいはワイが話を盛っていると思われても癪なので、ふたりの顔写真をここに掲載することにする。
男三人、会ってもあんまり「写真撮ろうぜ写真!」みたいにはならないため、残念ながら最近のものは手元にない。ご容赦願いたい。
一応、ちょっとだけ隠しておいたがこれでも雰囲気は充分に伝わると思う。
見てると段々腹が立ってきたので自分のも撮ろうと思ったのだが、どうあがいてもオークの自撮りしか撮れない。奇妙である。
後ほどアップルに「カメラ機能がおかしい」と苦情のメールを送るつもり。カメラを修理してもらったらワイのも載せます。ぴえん。
では、また……。
★次回、8/6(木)深澤夜さんより、このコーナーは毎週木曜更新となります。どうぞご贔屓に。
★絶賛発売中
松村進吉 編著
深澤夜、原田空 共著
かつてない混迷の中にある今夏、とんでもなく濃密な怪談が3人の元に集まった。
否、託されたと言うべきか。
漁村の怖ろしき禁忌譚ほか、怪談沼の深みに首までつかりたい愉悦の32話‼