【連載日記】怪談記者・高田公太のデイリーホラー通信【#10】特殊能力:酒なしで泥酔/子どもの頃は誰しも自分が特別な存在だと思っている
新聞記者として日夜ニュースを追いながら怪異を追究する怪談作家・高田公太が、徒然なるままに怪談・怪異や日々の雑感を書き殴るオカルト風味オールラウンド雑記帳。だいたい4~7日前の世相を切ります。毎週月曜日と木曜日に更新!
目次
2021年2月4日(木)
いろいろ怠けていたら、やることが溜まってしまった。
役所に行ったり、何かの申し込みをしたり、事務的なことをこなすのがとても苦手だ。耐え難い苦痛を感じる。
to doアプリが手放せない。アプリにメモをするのも気合いがいるのだが、それをしないと何の処理もできない。
スマホを脳の拡張機能として使わないことには、何もかも後回し、忘却の彼方だ。
怪談の取材中、スマホかノートにメモをするようにしている。
だいたい取材といえば呑みの場で急に始まることが多いので、酩酊度合いが酷いと聞いた話の記憶が朧気になる。これではまずいということで、どれだけ酔っていてもピンときたらスマホにメモすることだけは忘れないようにしている。
ちゃんと取材の段取りをつけているときはレコーダーを使う。何にせよ、記憶だけでは怖い。
昔はメモもレコーダーもいらないくらいに脳が活発だったのだが、年々駄目だ。
弘前ではそろそろ「今年の桜祭りは開催されるのかね」という話題。
弘前公園の桜祭りはとんでもない経済効果があるので、やるやらないで景気がまったく違う。
弘前から桜祭りとねぷた祭りを奪ったら、経済回復の契機が何もない。
ニュースは森喜朗会長関連がまだまだ続いている。
今後、一切喋らせないという手を取るしかないのではないだろうか。
YouTubeでボルダリングの動画を延々見る。ボルダリングかっこいい。ロッククライミングのフリーソロは見ていて怖いが、ボルダリングはまだ安心して見れます。
運動をしなければ……と自分でも思う。
サラリーマンと作家の往復をしていると、まったく運動をすることがない。基本座りっぱなしだ。
運動をする作家に憧れる。
ジョン・アーヴィングがかつてアマレスをしていたと知った時から、スポーティーな作家がかっこよく思えるようになった。
クラブハウスにちょくちょく入るなど。
#老化 #clubhouse #ジョン・アーヴィング #ボルダリング
2021年2月5日(金)
一人酒を決める。
酒を呑むのは基本的に好きだ。
酔うと多弁に加速がかかるか、と言われればそうでもなく、失言を恐れてなるべく冷静になろうという意識が強まる。よく「高田さん、酔ってますね」みたいなことを言われるが、私が酒の場でするおかしな振る舞いは、決して酔っているかどうかに依存しているわけではない。私は酒なぞなくても、いくらでもおかしな振る舞いをできる。
単に皆様に喜んでほしいだけなのだ。
しかし、世の人にとっては私のそんな道化仕草を見て、「こんなの酔ってでもいないとできないだろう」と判断するようだ。
以前バーでこんなことがあった。
私を含めた常連連中で、とても場が盛り上がった。
笑いの絶えない会話が広がり、私と常連のおじさんで情熱的なダンスを踊り、仕舞いには濃厚なディープキスをした。
すると、これにはドン引き一色の周囲。
女性陣からは本気のトーンで、気持ち悪い、という声も漏れていた。
私は、へへ、と笑って何事もなく席に戻った。
その後私は、高田さんやだなあ酔いすぎですよぉ、みたいな指摘を他の客から受けたのだが、その晩私はホットコーヒーしか飲んでいなかったので、酔っているわけがなかった。え、嘘でしょコーヒーだけなんですか、と皆はさらに引いていた。
私はレベルが違うんですよ。何かの。
私は酒がないと生きられないというタイプではない。何ヶ月も呑まないことも全然簡単にできる。
酒に呑まれるタイプの人はあまり好きではないです。
2021年2月6日(土)
朝起きて、もう一つ気分が乗らないままスマホをいじり、遅めの朝ご飯を食べたあとに横になったらそのまま中途半端に睡眠をとってしまい、寝起きが最悪。
パソコンで映画やドラマを見る元気も無かったので、またスマホをいじって、昼過ぎにはビールを飲み始めた。
この頃にはすっかりダウナーな気分になっていたので、また布団に入り中途半端な睡眠。
そして16時頃に起きたところ、身体がなおさらに怠い。
ああ、これは完全にうつなのだ。
どれだけ弱っていても、一日を呼吸をしながら過ごしているだけで立派だ。
明日になれば、いくらかマシになっているだろうと期待する気持ちは「希望」と呼んでいいだろう。
しっかりと希望を持って生きた一日だったのだ。
夜は住倉とずーっとLINE。
時折、自分の子供時代を思い出す。
あまり外で遊ぶのが好きではなく、かといって、まったく外で遊ばないわけでもなかったが、どちらかといえば家で本を読んだり、兄のお下がりの玩具を使って一人遊びをするのが好きだった。
あの頃は自分が何か特別な存在だった気がしていた。
大人になった今も、やはり自分は特別な存在だと思う。
皆さんは、特別な存在ですか?
2021年2月7日(日)
日曜日の会社は人が少なくていい。
四六時中BOSEのノイズキャンセリングイヤホンを付けていた。
昔からは私は気が散りがちだ。
喫茶店で誰かと話をしていても、相手の話に興味が持てないとすぐに隣のテーブルの会話や有線の音楽に耳が向いてしまう。
外を歩いていても、常に何となくキョロキョロしているし、会社でも他人の会話がガンガン耳に入ってくる。
ノイキャンを知る前は、そういうもんだと思っていたが、ノイキャンをするとあら不思議。集中力アップ著しく、一日が疲れにくい。
疲れないように生きたい。
体力的な疲れはあってもいいが、精神的に疲れたくない。
多くの人が「もしかして自分は誰かに精神的な疲れを与えているんじゃないだろうか?」と自己を省みて、他人を疲れさせる要素を減らしてくれたらいいのだが、他人を疲れさせる人ほど、内省しない。
例えば上記の文章を読んで「あー、いるいる。人を疲れさせる人っているよねえ」程度の感想しか抱けない人こそが、まさに他人を疲れさせる輩なのだ。
誰だって誰かを疲れさせているに決まってるじゃないか。
私だって、誰かを疲れさせている。
なんで、自分だけは違うと思えるんですか。
あなた。
「私はお化けです」と言うお化けは少ないと思う。
お化けは自分がお化けだという自覚が無さそうだ。
自覚なく出てくるから迷惑なのだ。
「すみません。お化けです」から始めてくれたら、生きている人とのコミュニケーションも取れそうなものなのに。
だからお化けとあなたは怖いのだ。
あなたのように、自分のことを疑わずに出てきて、人を脅かすから、厄介なのである。
とにかくとにかく、自分を疑わない輩は怖いのだ。