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7月新刊『恐怖箱 煉獄百物語』(加藤一/編著 神沼三平太、高田公太、ねこや堂/共著)内容紹介・試し読み・朗読動画

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加藤一、神沼三平太、高田公太、ねこや堂の4人が
独自の嗅覚で聞き集めた全て実話の百物語。
恐怖、奇怪、不思議、不気味。
この世の異分子が密にひしめく地獄のごとき怪奇録!

「なんでそんなに優秀なの?」

天才と呼ばれる同級生。
でも、あの子といると私の骨が外れる…。(「浩江ちゃん」より)

「えっ」「ぞわっ」の百連発!驚怖の実話怪談

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あらすじ

「絵画展」高田公太

夫婦で入ったギャラリー。出てから感想を言い合うと奇妙なズレが…

「だって俺、オヤジになるじゃんよ」加藤一

暴走族のバイクのリアシートに座る彼女が背負っていたものは…

「白イ顔」神沼三平太

白い楕円に3つの穴が空いた白い顔。時々視界に入ってくるそれは…

「海と川と井戸」高田公太

海、川、井戸…人生で三度目撃した黒い霧のような人影の正体は…

「イエユウレイグモ」加藤一

洗面所にぶら下がっていた細足のクモ。だが、よく見ると違和感が…

「おかみさん」ねこや堂

おかみさんと呼ばれる龍神様が海から上がってくる日の禁忌とは…

「浩江ちゃん」神沼三平太

何でもできる神童のような友人の秘密。彼女の周りで起きる不幸との因果は…

「真似はできない」ねこや堂

神棚が祀られている旧家の納戸を掃除するバイト。家の者は立入禁止だというのだが…

著者コメント

「煉獄百物語」 加藤 一
いやあ、千話できちゃいましたねえ。百物語をライヴでやったことがある人は皆、ピンとくるんじゃないかと思いますが、一晩で百話やるのも本当は大変なんですよね。小さくまとまらなかったり、ネタが尽きたり、似たような話ばかりになったり。最近は、怪談文庫のほうでも、他社さんでも、或いは動画配信やなんかでも百物語にチャレンジする人々や百物語系の新刊が次々に出て、百物語の百は百花繚乱の百かな、と思うほどです。
さてさて、恐怖箱百式チームはとうとう千話成就。コンスタントに、しかし選りすぐった百話を十回重ねての千話です。そして、「じゃあ、次は二千話目指そうぜ!」ってんで、我々早くも来年に向けてアクセル踏みこんでますので、今後も引き続き御愛顧の程を。

「真似はできない」ねこや堂
 僧侶の方に限らずなのですが、「視える」人々の中には霊に対して成仏を促す際にやや強引な手法に出る方がいるそうです。岩塩の塊を霊の顔面に叩きつけるとか、岩塩を握り締めた拳でボディブローを叩き込むとか。
 正に拳が物をいう、そういう事例は結構あることのようで。力任せの説得ですね。まあ脳筋にも程がありますが。
 そういう意味では、生きている人間が一番怖いかもしれません。

試し読み 2話

自動運転レベル5 加藤一

 道路の曲がり角から一台のセダンが出てきた。
 セダンは下校途中の小学生の脇を走り去っていった。
 白地に青の花柄のシートカバーを付けた運転席は無人であった。
 一九八〇年初頭頃、テスラ登場以前の話である。

真似はできない ねこや堂

 友人の一人に実家の寺を継いだ者がいる。
 住職になってから大分経つのだが、しっかりとした立派な体躯の割に大層な怖がりで、未だに「そういうこと」に慣れないという。大凡僧に向いているとは思えないのだが、それなりに檀家からは信頼されている。
 仕事柄お祓いを頼まれることもあって、毎回「成仏を願って経を上げる以外何の役にも立てないと思うのですが、それでもよろしいですか」と何度念押ししても、何かしら相談されるくらいには。
 確かに「視える」し「分かる」。彼曰く「視える」ことと「対処できる」こととは別問題であるらしく、「そういうことができるのは一部の選ばれし者達で、拙僧のような平凡な僧には過度な期待はしないでほしい」と切に願っている。
 先々代住職である彼の祖父は、その「一部の選ばれし者達」の一人であったようで、豪放な「手腕」で以て、持ち込まれた問題を解決していた。
 子供の頃の話だが、本堂にうっすらとした霊が出るようになった。気配が薄いくせに何事か小声でブツブツ呟いている。そんな仄かな存在でも怖いものは怖い。なるべく本堂に近付かないようにしていると、気付いた祖父が足音荒く本堂へ。
「声が小さい!」
 一喝。
「そんなだから成仏できんのだ!」
 エクスクラメーションマークが、あと五つくらいは付いていたのではないかと思わせるような音量である。
「もっと! 大きな声でっ! はっきり姿を現さんかあっ!」
「ひぃっ」
 小さな悲鳴を上げて霊が掻き消えた。思わず霊に同情した瞬間であった。
 それから暫く経ったある日、祖父は檀家に呼ばれた。幽霊が出るようだから一度見てほしい、という。果たして、リビングの隅に佇む影。目にした瞬間、数珠を巻いた手でグッと拳を握る。
「いいですか!」
 ゴツン! と重い音がしそうな拳が霊の顔に繰り出された。
「幽霊というものはあなた達の不安が形になったものです!」
 顔は家人に向いたまま、拳は霊に降り注いでいる。
「こんなものはいません!」
 いないと言われたはずの幽霊が、どつき回されている。
「だから私は、あなた達の心が平穏であれと読経致します!」
 そうやって経を唱えながらパンチングマシーンが如く拳を見舞い続けて間もなく。
「ご、ごめんなさい、許してください」
 泣き声を残し、家の者達の目の前で逃走した。お祓い(物理)成功である。因みに祖父は極真空手の黒帯であった。
「親父が行くとな、お盆なのにお墓が静か~になるんだわ」
 父である前住職がボヤいていたのを覚えている。
 そんな祖父も鬼籍に入って暫く経つ。
「祖父ちゃん、俺結婚できるのかなあ」
 独身生活も長い彼が、何げなく仏壇に向かって呟いてすぐ、お供えの花が全部首からポロリと落ちた。全否定である。
「知らせなくていいよ、そういうのは」
 もっともである。

(了)

朗読動画(怪読録Vol.96)

【竹書房怪談文庫×怪談社】でお送りする怪談語り動画です。毎月の各新刊から選んだ怖い話を人気怪談師が朗読します。

今回の語り手は 和泉茉那 さん!

【怪読録Vol.96】超豪華!人気怪談本から4話一挙大公開—加藤一編著、神沼三平太、高田公太、ねこや堂共著『恐怖箱 煉獄百物語』より【怖い話朗読】

商品情報

編著者紹介

加藤一 Hajime Kato

1967年静岡県生まれ。O型。獅子座。人気実話怪談シリーズ『「超」怖い話』四代目編著者として、冬版を担当。また新人発掘を目的とした実話怪談コンテスト「超-1」を企画主宰、そこから生まれた新レーベル「恐怖箱」シリーズの箱詰め職人(編者)としても活躍中。主な著作に『「忌」怖い話』『「超」怖い話』『「極」怖い話』各シリーズ、『「弩」怖い話ベストセレクション 薄葬』(竹書房)、『怪異伝説ダレカラキイタ』シリーズ(あかね書房)など。

共著者紹介

神沼三平太 Sanpeita Kaminuma

神奈川県出身。O型。大入道。足のサイズ31.5cm。いくつかの大学の非常勤講師の傍ら怪談蒐集と執筆を行う。ロシアンブルーの猫のお父さん。コーヒー焙煎とシフォンケーキ作りが趣味。主な著作に『実話怪談 吐気草』他〈草〉4部作、『恐怖箱 醜怪』他〈憂怪〉4部作(竹書房)など。

高田公太 Kota Takada

青森県弘前市出身。1978年生まれ。O型。サラリーマン。性格は気さく。好きなアイドルは絵恋ちゃん。主な著作に『恐怖箱 青森乃怪』『恐怖箱 怪談恐山』、近刊共著に『青森怪談 弘前乃怪』『東北巡霊 怪の細道』(竹書房)など。

ねこや堂 Nekoya-do

九州在住。実話怪談著者発掘企画「超-1」を経て恐怖箱シリーズ参戦。現在、お猫様の下僕をしつつ細々と怪談蒐集中。B型。主な共著に「恐怖箱 百物語」シリーズ、『追悼奇譚 禊萩』『現代実話異録 鬼怪談』(竹書房)など。

シリーズ好評既刊 

恐怖箱 切裂百物語

短いが切れ味鋭い恐怖実話がずらり100話。はなはだ物騒な1冊である。心臓を一突きされるような恐怖もあれば、薄皮だけを切り裂かれるような恐怖もある。神経や血管をハサミでジョギジョギ切り落とされるような類もある。とにかく心臓に悪いことこの上ないが、意外とこれが癖になる。絶叫マシンと同じで、怖ければ怖いほど試してみたくなるのが人というものだろう。例えるなら本書は、急上昇に急降下、横揺れに縦回転、ありとあらゆる絶叫ポイントが100あるジェットコースターのようなものだ。思う存分叫んで欲しい。心臓の弱い方にはおススメしない…。

恐怖箱 彼岸百物語

百物語――それは古より行われてきた一種の肝試しで、参加者が百の不思議・因縁譚を語り継ぐ怪談会の流儀である。言い伝えでは、百話語り終えると本物の怪が出現するとされている。本書は四人という忌み数で百話を紡いだ禁忌の百物語である。そして、「物語」とは言うけれどもこれらはすべて実話である。\ひやり、ぞぞぞ…から絶叫絶句の恐怖まで、一度読み出したら止まらない、止まれない。ぜひ首まで恐怖世界に浸かって最後の瞬間を見届けて欲しい。

恐怖箱 常闇百物語

一族の繁栄を護るという“まだら様”。その忌まわしき秘密を知ってしまった男は…「知人の死因」、通夜の晩、亡くなった人といちばん親しかった者が添い寝をする風習。祖母の通夜で添い寝役に選ばれた少年は…「横に寝る」、著者が台所にいると窓から顔を出すおばさん。近所の不吉な話ばかりをしていくのだが…「台所の窓」、熊撃ちの名人が山で遭遇した恐ろしきモノ。二度と山に入らなかった猟師の末期…「猟師の死に方」他、自身の体験や友人から聞いた生々しき恐怖実話の数々。\\金沢の営業マンが綴る実話怪談。シリーズ初、著者渾身のオール書き下ろし!!

恐怖箱 魍魎百物語

家庭教師の教え子の姉らしき女性、親は存在を隠そうとしているが…「家庭教師」、その歯科医が廃業した理由、患者の口内に見た恐るべきものとは…「歯科の話」、ホテルの部屋から見えた乳母車を押す女性。その夜、部屋のドアがノックされ…「赤ちゃん」、小学校の焼却炉、ゴミを捨てに行くと見知らぬ子がかくれんぼしようと誘ってきて…「焼却炉の子」、一家の守護霊と思しき白装束の女性。彼女が初めて発した言葉とは…「説教」、首都高を走行中、奇妙な8人組が背後に迫ってくる…「スリップストリーム」ほか、恐怖箱の人気作家4人が綴る現代の百物語。\\魑魅魍魎のごとく、有象無象の恐怖が跋扈する!

恐怖箱 八裂百物語

4人の怪談猛者が代わる代わる紡ぐ百の実話怪奇譚。\\事故現場で瀕死の被害者と目があってしまった少女。\その夜、寝ていると…「交通事故」、離島の海の水底にあった女性の顔。すすり泣く女は何を訴えて…「水中の女」、寝室に響くラジコンカーの発進音と壁にぶつかる激突音。音の正体は…「ラジコンカー」、イギリスの田舎町の宿屋に出るとある霊。見た者は幸運になるというが…「首なし」、新居の出窓にできる謎の水たまり。その原因は…「黒い手」、霊感がないことが雇用条件の高収入バイト、山の中でやらされる仕事とは…「気安い仕事」ほか、ページを捲る手が止まらない戦慄の百物語!

恐怖箱 祟目百物語

現代日本で実際に起きている異変、日常生活の中でテロのごとく遭遇してしまう怪を100話集めた実話怪談集。電車で乗り合わせた男のボストンバッグから突き出た子供の手に似た何か。次の瞬間、男がバッグを投げてきて「向かいの乗客」、夜中に出た鼻血。寝ぼけたまま拭ったところ、翌朝ティッシュに文字が「ティッシュ」、肉眼では誰も見えないのに、警備会社からカメラに人が映っていると言われ「頭がパンクしそう」、ツーリング仲間が嫌う県道〇号。事故がある度に道路の法面に並ぶ首が増えていく「法面」、寝返りを打つと顔が浮かんでいる「ハンガーラック」……他、なぜこんな目にと言いたい百話!

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