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【連載日記】怪談記者・高田公太のデイリーホラー通信【#8】ラドンが超怖い/俳句会に行く/エビ中で泣きます

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新聞記者として日夜ニュースを追いながら怪異を追究する怪談作家・高田公太が、徒然なるままに怪談・怪異や日々の雑感を書き殴るオカルト風味オールラウンド雑記帳。だいたい4~7日前の世相を切ります。毎週月曜日と木曜日に更新!

2021年1月 27日(水)

 Netflixのホラージャンルにある旧作映画を観ようと思い立ち、「空の大怪獣ラドン」を視聴。沢山の人があっさり死ぬ描写が多く、何を考えてるかまったく分からないクリーチャーの凶暴さに戦慄する。ラドンはハリウッドリメイクされないのだろうか。現代にラドンが蘇って、何もかもむちゃくちゃにぶっ壊す映画を観たい。ゴジラもモスラも、仮に乾いたキャラクターとして描いたとて、観ている側が勝手にドラマを構築してしまう。その点ラドンは未だ何なのか分からない分、恐怖度が高い。ラドンは顔が小さいので、その眼から何も読めない。

 また寒波が来ると、会う人会う人が口々に言う。ウイルスに怯えたり、寒波に怯えたり、人間はまだまだ猿だと自覚する。

 エビ中の「君のままで」を聴いて泣く。

 私はエビ中の歌詞を何一つ否定せず批評せず、全てを呑み込む。だから、すぐ泣いてしまう。

 今年私に届いた年賀状は、エビ中ファンクラブからの一枚のみだった。

 ノートを開いて昔体験談を取材したときのメモを確認。まったく書いてることの意味を思い出せないものもあれば、取材時の状況をちゃんと思い出して「あ、これ今書いたら面白いかも」と感じるものもあった。

 10年前、デビューして何冊目かのアンソロジーを、バーで同席した老婦人が購入してくれた。

 後日、道すがらその老婦人にたまたま会い、感想を求めたところ「どうしてこんな即物的なんですか?」と素直に言われた。

 私は即物的に書いたつもりはなかったのだが、その言葉が意味するところはよく分かった。怪談とはだいたい即物的なものだ。結局はいくら文字を重ねても「怖い」だけを表現しているに過ぎない。普段、さまざまなジャンルを読む老婦人には、どこを切っても「怖い」だけを伝えようとする実話怪談アンソロジーが我慢ならなかったのだろう。

 この経験を経てから、私は「怖い」だけを伝えるのを止めた。即物的な怪談の良さを否定はしないし、そもそも私はその即物的なものが大好きなのだが、自分は違ったアプローチをとろうと思った。

 あの日の老婦人に「怪談本というから即物的なものかと思いましたが、こんなに豊富な切り口で人間を描いているのですね」と言わせたい一心がある。

 結果、遅筆、寡作、怖くない作家になったのだが、そのわがままな一心を何ら恥じない。

#空の大怪獣ラドン #寒波 #私立恵比寿中学 #怪談

2021年1月28日(木)

 もの凄く珍しい「非怪談」執筆依頼がきて、テンションが上がる。嬉しい嬉しい。

 Netflix旧作ホラーは「東海道四谷怪談」と「地獄」の中川信夫二本立て。もうとにかく画に痺れる。両作とも十代の頃に観て以来なのでほとんど初見に近く、今の審美眼のおかげで面白さが十倍増しだった。

 「映画秘宝」が炎上。外野の私から見た印象としては、そもそも編集長にしてはいけない人だったのではないかと感じた。もし竹書房怪談文庫公式から「怖くないと言われたので、死にそうです」とDMが来たら最悪です。

 人のおかしさは、怪談に通じる。  

 私自身そうだが、自分の行いが正しいのか間違っているのか、他人がどう思うかを理解できないどころか、何も考えずに行動してしまう時、人はおかしい。

 訳も分からずプログラムが実行されて、ほとんど自動的に何かをしてしまう。

 Twitterでも「え? なんでこの人はこんなにイキってるんだろう? これじゃあ、沢山の人からバカにされるだろうに。なぜこんなツイートしたのだろう?」と誰もが感じるツイートがある。そんなツイートを投稿した時、その人はきっと自動的だったんだろう。

 この世に出てきてしまい、厄介事をもたらすお化けたちは、見事に人のおかしさを表現している。

 節度があったら、出てこないのが普通ですから。

 お化けというものはおしなべて節度がないし、自分のことを分かっていない。

#東海道四谷怪談 #地獄 #中川信夫 #映画秘宝 #お化け

2021年1月 29日(金)

 日記を書くようになったらツイートが減った。そういうものなのか。

 とても寒くて気が滅入る。横殴りの吹雪も。

 娘が「『君の名は』の小説面白い」と。

 え。小説読めるの? ついに小説読むようになった? 八歳で小説読み始めるのは早い方? どうなんだろう。

 何にせよ嬉しいなあ。

 嬉しい嬉しい。

 小説は良いよ。

 小説をたくさん読んで、どんどん混乱してほしい。

 そして善悪も人生の意味も分からなくなった時に見る、光の美しさを感じてほしい。

 娘よ、その光はそんじょそこらの美しさじゃないんだ。

 カトワンさんから「青森怪談 弘前乃怪」ゲラが届く。

 2月末発売です。

 ふと全ての仕事から離れて家族とぼんやり過ごしたい欲求に駆られる。しかし、今日とて妻も私も仕事があり、娘には宿題がある。本当に何もない一日は、今後の人生にあるのだろうかと不安に。

 YouTubeで落語「応挙の幽霊」の色んなバージョンをチェック。というのも、津軽弁落語「応挙の幽霊」をやってみようかと思い立ったのだ。9月までにできるようになるかな。

 昨日に引き続き、また原稿依頼の打診。今年は例年より露出は多そうだ。私は怪談ブームと踊っている。

 「禍話」、めちゃ面白い。圧倒的に良い雰囲気の配信。 

#育児 #青森怪談弘前乃怪 #応挙の幽霊 #禍話

2021年1月30日(土)

 俳句会に久しぶりに行く。

 私は弘前市の「此岸俳句会」の会員だ。現代俳句協会青森支部会員でもある。

 月一回俳句会があるのだが、仕事があったり、うつになったりで、しばらく出席できずにいた。

 俳句の先輩方から「元気なった?」と声をかけて頂く。

 今日が初句会だったそうで、席題は「初句会」だった。

 句の出来映えは、いくらか点数が入ったのでまずまずでしょう。

 明日は第一回オンライン怪談の書き方教室。頑張ります。

 カトワン界隈のSkypeもごにょごにょとある議題に関して動く。

 娘の身体が大きくなりすぎて、たまに同じ布団で寝るととても腰が痛い。愛とは痛いものだ。まあ、いいか。

 ここ数ヶ月おでこにあった吹き出物がやっと治ってきた。私は30歳半ばくらいから、常に顔のどこかに吹き出物があるおじさんになった。

 一度皮膚科に行ってみたところ、医者から「ストレスが溜まると吹き出物はでやすいし、ストレスのある人は吹き出物を手でいじりやすいから、治りが遅い」と、身に覚えしかないことを言われた。まあ、いいか。

#俳句 #オンライン怪談の書き方教室 #カトワン #吹き出物

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書いた人

高田公太(たかだ・こうた)

青森県弘前市出身、在住。O型。実話怪談「恐怖箱」シリーズの執筆メンバーで、本業は新聞記者。主な著作に『恐怖箱 青森乃怪』『恐怖箱 怪談恐山』、『東北巡礼 怪の細道』(共著/高野真)、加藤一、神沼三平太、ねこや堂との共著で100話の怪を綴る「恐怖箱 百式」シリーズがある。Twitterアカウント @kotatakada

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