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【連載日記】怪談記者・高田公太のデイリーホラー通信【#9】コロナ特措法について/反コンプライアンス主義/パンク作家

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新聞記者として日夜ニュースを追いながら怪異を追究する怪談作家・高田公太が、徒然なるままに怪談・怪異や日々の雑感を書き殴るオカルト風味オールラウンド雑記帳。だいたい4~7日前の世相を切ります。毎週月曜日と木曜日に更新!

2021年1月 31日(日)

 第一回オンライン怪談の書き方教室を開催した。

 受講者3人の原稿をZOOMの画面共有を使いながら、目の前でお喋りしながらリアルタイム校正・推敲するのがメイン。

 途中、何度も画面共有が止まってしまうのは想定外だったが、受講者の励ましがあって何とかなりました。雅さん、ほしじろさん、土方幽さん、ありがとうございます。

 年々、目が辛くなる。MacBookの13インチでの識字がもの凄く怪しくなってきていることを強く感じる。まったく見えなくなることはないのだし、見えていることは間違いないのだが、脳がしっかりと視覚情報を処理できていないらしく、どうにも不安になってしまう。

 ディスプレイを買いたいと妻におねだりした。

 ネット界隈はclubhouseが話題。

 黒木あるじさんから所用でTELあり。「日記、見てるよ」と言われた。今回は音声異常なし。

 次の仕事もある。

 うつになって得た「自分は自分が思うほど強くない」という考えを忘れないようにする。カトワンさんから「あんまりうつ病アピールすると、不安がある作家と認識されて仕事来なくなるよー」というアドバイスもあったのだが、だからといって蓋をしたくない気持ちがある。

 うつ仲間よ、俺はここにいる。

 まったくTwitterのフォロワー数が増えていたり、仕事が激増しているわけでもないのだが、日記を始めたことで少しだけ露出量が増えた。

 作家が日記連載で露出量増やしてどうすんだ、という声もあるだろうが、太宰治の大量の随想を読むにつけ、これはこれで伝統的な行いの範疇だという認識を強めざるを得ない。

 しかし、調子に乗らないようにせねば。人は調子に乗って躓くのである。実際に私に会うと、いかにこの高田公太という人間が卑小でくだらない人間であるかを皆即座に理解し、顔を歪めたりて、げえ、と声を漏らすに違いないのだ。

 外は吹雪。 

#オンライン怪談の書き方教室 #clubhouse #太宰治

2021年2月1日(月)

 話題がクラブハウス(clubhouse)一択の一日。

 今のところ様々なトライブの方々が新規アカウントを取っていて、なんか面白い。今のところの感想は「なんか面白い」しかない。

 夜に住倉カオスとZOOMを繋ぎながら仕事。

 とはいっても、二人とも基本は無言。ヴァーチャル編集部的な雰囲気を作って、互いに仕事のやる気を出している……というのは建前で、我々は愛し合っているのだ。

 コロナ特措法改正案が衆院可決。

 コロナを巡って飲食店VS国会という様相がずっと続いている。正直どの立場、どの観点から物を言うかで論調が大分変わってしまう。

 飲食店をしている知人らの立場に寄り添うなら、「潰すつもりか」と言う。ウイルス感染で死に至る可能性のあるご年配の知人の立場に立つなら、「やむを得ない」と言う。

 しかし私は飲食店経営者でもなければ、年配でもない。

 元々飲食店経営というのは時勢に依存している部分があり、年配の人がウイルスにかかって命を落とすのはある種自然の摂理の一つだとも思う。

 だが、どんなことがあれ皆が幸せになる形にもなってほしいとも思う。

 これほど大きなテーマに対して、包括的に竹を割ったようなことなどまったく言えない。

#住倉カオス #コロナ特措改正案 #現代思想 #コロナ

2021年2月2日(火)

 DOMMUNEのアルバート・アイラー特集を視聴していると娘が「ゲームやろー」とおねだりしてきたので、音楽をとるか娘をとるかの二択で娘をとる。

 どうも、パパです。

 娘が二足歩行をできるようになってから、本当に趣味の時間が減った。映画を観る量も減ったし、読書も一冊読み終えるのに凄く時間がかかる。自由人生活が長かった私は初めの数年、それがとても辛かった。

 とはいえ、人は慣れる。

 いつしか「たまーに何かのタイミングで得られる自由時間があればいいかー」と思えるようになったし、気軽にできるスマホゲームや1話20分ちょっとのアニメの楽しさにも気がつけた。

 なんなら遠くにある山を見たり、星空を眺めるのも楽しくなった。

 別に映画鑑賞や読書が嫌いになったわけではないので、結果としては楽しめることの幅が広がったわけだ。

 趣味人、自由人の類が家庭や社会の型に染まってしまう姿は、ある種敗北のように見えるかもしれない。

 映画「竜二」のような生き方も潔いものだ。(現代的視点で観ると「竜二」は男尊女卑的に思えるかもしれないが、「竜二」のテーマは「人間のどうしようなさ」であり、性差はないものだと解釈している)

 だが、私は自分が家族や社会に入っていくことを「パンク」と思っている。

 サーチ&デストロイの精神でパパとサラリーマンをやっているのだ。

Punks not dead poster with punk skull to design for t-shirts and greeting cards vector illustration

 #DOMMUNE #家族 #竜二

2021年2月3日(水)

 原稿料が入るかと思ったら、私の勘違いで翌日でした。

 ニュースは森喜朗会長。

 世論は一発アウトという感じ。Twitter民や内輪には「失言する=政治が下手ではない」という意見も。

 世論に寄せるなら、失言をするほど配慮が足りないなら、政治家としてどれだけ世の中を読めているのか甚だ怪しい。思っていても言わないくらいの気を見るに敏な態度を期待したいものだ。

 しかし、森会長の持っている人脈(これまでのキャリアでどれほどの要人のお世話をしたかは想像に難くない)を思うと、失言はしないが能力の低い新会長を置いた場合にどれほどの処理能力があるのかは未知だ。

 もうこうなると、一回森会長及びその取り巻きと対話をしてみないことには、何がどういうものなのかはまったく分からない。

 私の手に余る議題に突っ込んだら、こうなります。

 「青森怪談 弘前乃怪」の作業がちょっと落ち着いたが、もう一つ気持ちは落ち着かず。

 昔から気持ちが落ち着いている時間があまりないのは、おそらく発達障害の気があるからだろうと思っている。

 ああ、今穏やかだなと思えることが稀だ。

 多動で注意欠陥障害で、多弁症の人間の心が落ち着くことはほぼない。

 頭の中が五月蠅く感じることさえある。

 それでも対外的には「楽しい人」と思ってもらえるので、なんとなく上手く行っている。それに何を隠そう私には「優しさ」があるのだ。

 面倒臭い人格だが、「優しさ」は大事にしたい。

 どんな人間でも「優しさ」さえあればなんとかなる。

 これは本当のことだと思う。

 ここで急に森会長の話に戻ると、政治家は「優しさ」が可視化されず、「悪さ」だけが可視化されるから因果な商売だ。

 尤も、悪くないお金をもらっているのだから当の本人は気にしないだろう。芸能人みたいなものだ。

 政治家も芸能人並にコンプライアンスを気にしたらいい。たったそれだけで叩き所が減るのだから、そうしたらいいだけですね。

 どんな仕事もヴァリューを決めるのは世間だ。

 みんなで足を引っ張り合う世界はきっとこれからも続くんだ。

 達観、諦念、コンプライアンスが支配する世の中に、私は表現で抗う。弱小怪談作家だからといって、なめられたくはない。

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書いた人

高田公太(たかだ・こうた)

青森県弘前市出身、在住。O型。実話怪談「恐怖箱」シリーズの執筆メンバーで、本業は新聞記者。主な著作に『恐怖箱 青森乃怪』『恐怖箱 怪談恐山』、『東北巡礼 怪の細道』(共著/高野真)、加藤一、神沼三平太、ねこや堂との共著で100話の怪を綴る「恐怖箱 百式」シリーズがある。Twitterアカウント @kotatakada

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