マンスリーコンテスト 2022年6月結果発表

怪談マンスリーコンテスト

ー 怪談最恐戦投稿部門 ー

2022年6月結果発表

最恐賞
「室内の豪雨」都平暢
佳作
「ろくでもない」住依為信
「磯の香り」影絵草子
「黄色い傘」鮭鍋

最恐賞「室内の豪雨」都平暢

都内のテレビ局に勤めて十年目になるOさんは、五年目に入った年、思い切って広くて立地の良い部屋へと引っ越した。
引っ越して一週間ほどしたある休みの日、リビングで作業をしていたOさんがコーヒーに手を伸ばすと一瞬、カップの黒い面にぽちゃんと波が立ったように見えた。しかし、あらためて見つめると特におかしい所はないので、そのまま済ましてしまった。
それから数日後、朝起きぬけに水を飲もうとすると、まるで小雨が降っているかのように、コップにぽつぽつと二三波紋ができた。今度は確かに目撃したが、天井が水漏れしているわけでもなく、他の原因も思い当たらなかった。コップの水は飲まずに捨てた。
それ以来何となく気味が悪く、部屋で口のあいた容器を使うのを避けるようになった。飲み物はボトルやビンから直接飲むようにし、風呂はシャワーだけで済ませた。それにそもそも仕事やらなんやらで忙しく部屋に帰らない日、帰ってもただ眠るだけという日も少なくなかった。
そういう生活がつづき気味の悪さも薄れかけていた頃、仲の良い同僚が「引っ越し祝いだ、一緒に飲もう」と言って、贅沢なおつまみと一緒にクラフトビールを持ってきた。Oさんはちょっとためらったが、グラスを並べた。せっかく持ってきてくれたものを断るのもおかしい。それに、今度は色もあり炭酸も入っている。
黒い液体が泡を立てながら満ちていく。乾杯のために二人がグラスを取ろうとした途端、大きな雨粒に打たれたように、泡がうがたれた。見えない雨滴は次々に降り注ぎ、ビールは踊りあふれて、テーブル一面にびしゃびしゃと飛び散った
Oさんはそのあとすぐに転居した。今では同僚にとってもOさんにとっても、食事の場でのちょうどいい小話になっているという。

総評コメント

後日詳細予定。

★一次選考通過 ※順不同

「袋」葛馬裕和
「ほしくなる音」あんのくるみ
「祈願、ざんざんぶり」高倉樹
「室内の豪雨」都平暢
「雨に選ばれた少女」池田青葉
「豪雨の向こう」吉乃繰々縷
「三人組のお坊さん」キアヌ·リョージ
「傘ギライ」大佛太郎
「涙雨」夕暮怪雨
「雨に呼ばれる」坂井冬芽
「雨合羽を着た親子」夕暮怪雨
「祖父の右腕」月の砂漠
「雨音」月の砂漠
「アマミズ様」天堂朱雀
「雨男」菜ノ花
「黄色い傘」鮭鍋
「雨漏り」山賀忠行
「罰」山賀忠行
「初体験」住依為信
「ろくでもない」住依為信
「ゆきちゃんですか?」墓場少年
「雨上がりの墓地de」雪鳴月彦
「紫陽花」筆者(Fudemono)
「天気の子」望月 環
「モノクロの虹」影絵草子
「傘の思い出」雪鳴月彦
「磯の香り」影絵草子

★二次選考通過 ※順不同

「袋」葛馬裕和
「ほしくなる音」あんのくるみ
「祈願、ざんざんぶり」高倉樹
「室内の豪雨」都平暢
「雨に選ばれた少女」池田青葉
「三人組のお坊さん」キアヌ·リョージ
「傘ギライ」大佛太郎
「雨に呼ばれる」坂井冬芽
「雨合羽を着た親子」夕暮怪雨
「雨音」月の砂漠
「雨男」菜ノ花
「黄色い傘」鮭鍋
「雨漏り」山賀忠行
「ろくでもない」住依為信
「ゆきちゃんですか?」墓場少年
「傘の思い出」雪鳴月彦
「磯の香り」影絵草子

次回7月は「食べ物」に纏わる怖い話。口に入れるものは安全に…。
皆様の力作、お待ちしております。

現在募集中のコンテスト

【第70回・募集概要】
お題:草木に纏わる実話怪談

締切 2024年04月30日24時
結果発表 2024年05月15日
最恐賞 1名
Amazonギフト3000円&文庫収録のチャンス
優秀賞 3名
竹書房怪談文庫新刊3冊セット
応募方法 下記「応募フォーム」にて受け付けます。
フォーム内の項目「件名(作品タイトル)」「投稿内容(本文1,000字以内)」「メールアドレス」「本名」「ペンネーム」をご記入の上ご応募ください。 応募フォーム

お問い合わせ kowabana@takeshobo.co.jp